【スマートシティ政策事例】岐阜県岐阜市「スマートシティぎふ推進プロジェクト」を詳しく解説!

【スマートシティ政策事例】岐阜県岐阜市「スマートシティぎふ推進プロジェクト」を詳しく解説!

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1996年に中核市に指定された岐阜市は、2013年より人口減少や高齢化等の課題を視野にいれた取り組みを進めてきました。そんな本市は現在、持続可能な都市であるために、市民の健康寿命を延ばすべく、ICT技術を活用しながら「健康都市ぎふ」の実現を目指しています。

本記事では、スマートシティぎふ推進プロジェクトの具体的な取り組みについて解説します。

市の概要

岐阜市は、岐阜県の南西・日本の真ん中に位置しています。市内中心部には「名水百選」にも選ばれている長良川、山頂に織田信長ゆかりの岐阜城がそびえ立つ金華山が位置し、豊かな自然が溢れています。長良川は、1300年もの歴史を誇る古典漁法鵜飼観覧の地としても知られており、鵜飼の技術、鵜飼い用具は国の重要文化財にも指定されています。

鵜飼で捕れる鮎を活かした鮎料理や鮎鮨、薬膳料理などが有名です。

人口40万937人(2024年1月1日時点)
面積2032.9k㎡(2024年1月1日時点)
市役所住所岐阜市司町40番地1
市役所ホームページ岐阜市

市がかかえる課題

岐阜市の人口は年々減少傾向にあり、2022年11月時点で40万2970人の人口が、2040年には35.1万人まで減退するといった見通しが立っています。65歳以上のシニア世代の割合は増加していく一方で、15~64歳の働き盛り世代・0歳~14歳の子ども世代は2040年には約5万人まで減少すると推計されています。

本市は、未来にわたり持続可能な都市であるには、市民全員が心身ともに健康であり、活き活きと暮らせるまちづくりが重要だと考え、「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまち」の実現に向け、様々な取り組みを実施しています。

参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト
参考資料:「岐阜市未来のまちづくり構想

「スマートシティぎふ推進プロジェクト」について

本市は、市民が心身ともに健康で活力をもって生活できる街づくりを目指しています。そのためには、ただ長寿であるだけでなく、健康寿命を延ばすことが重要であると考え、デジタル技術を用いた交通整備や利便性が高く安心して外出できる環境整備に努めています。

スマートシティ実現に向けた取り組み

3D都市モデルを活用したクアオルト健康ウォーキングの推進

岐阜市は、市民の心身の健康づくりに向けてクアオルト健康ウォーキングを実施しています。

クアオルト健康ウォーキングとは?

クアオルト健康ウォーキングとは、ドイツのクアオルト(健康保養地)で行われている自然の地形や風などを活用した運動療法を基に生み出されたウォーキング法です。

ドイツでは、高血圧症や心筋梗塞、骨粗しょう症等のための療法として活用されており、勾配や段差を利用して適度な負荷をかけながら歩くことや、体表面温度を2度下げるなどのルールが心身の健康づくりに効果的であるとされています。

この取り組みは、株式会社日本クアオルト研究所主催の「太陽生命クアオルト健康ウオーキングアワード2018」で優秀賞を受賞しています。今後は3D都市モデルを活用し、都市活動データや気温、日照データのシュミレーションに基づく都市空間の検討や、ウォーキングルート設定が進められていく予定です。

参考資料:「「太陽生命クアオルト健康ウオーキングアワード2018」受賞団体決定!~地域住民の健康寿命延伸に取り組む自治体を応援します~」
参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト

人流データを活用した歩行空間整備

岐阜市は、市中心部の回遊性を高めるために、岐阜大学工学部社会基盤工学科モビリティクス研究室株式会社テイコク・テクノと連携し、市内観光施設や駅など人通りが多いルート21カ所にWi-Fiパケットセンサーを設置して、人流データを取得する実証実験をしています。人流データと来訪者の属性や来訪目的、嗜好などのデータを重ね合わせることで、観光客や市民が快適に過ごせるような景観の整備を進めています。

2022年には実証実験の結果を踏まえ、道路空間の再構築や人流データの新たな利活用に取り組んでいます。

参考記事:PLATEU「Wi-Fiパケットセンサーによる地点間移動のモニタリング
参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト

自動運転

画像引用元:岐阜市 「GIFU HEART BUSの5年間の継続運行がスタート!」

岐阜市は、市内における公共交通の課題解決のため、2019年に「岐阜市公共交通自動運転技術活用研究会」を設置し、自動運転技術の導入に向けて研究を続けてきました。2019年11月には公園内での小型車両に走行実験、2020年11月には一般道での小型車両バスによる実証実験を行いました。

2023年には、実際に市民を乗せて市内中心部ルートと岐阜公園ルートを巡る5年間の継続乗車を実施しています。

参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト
参考ページ:岐阜市「岐阜市公共交通自動運転技術活用研究会
参考ページ:岐阜市「GIFU HEART BUSの5年間の継続運行がスタート!」

河川区域の環境整備

本市の長良川に面するエリアは、鵜飼など象徴的な文化を楽しめる区域として遊歩道やジョギングコースの整備が進められてきました。2020年度には、国土交通省中部地方整備局木曽川上流河川事務所と連携して「ぎふ長良川鵜飼かわまちづくり計画」を策定し、2022年以降はこの計画に基づき、Webカメラによる河川状況の監視や、AI画像判定による水位データ取得を進め、市民や観光客が安心して歩行できる環境整備、情報発信を進めていく予定です。

参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト
参考ページ:岐阜市「ぎふ長良川鵜飼かわまちづくり計画
参考ページ:国土交通省水管理・国土保全局「かわまちづくり」

MaaS

画像引用元:チョイソコカラタン

本市はアプリを用いて、目的地までの交通手段の検索から予約・決済まで一貫して済ませることができる交通サービスの実現に向け、以下の取り組みに励んでいます。

・市内バスへの全国交通系カードの導入
・アプリから購入できるモバイルチケット型乗車券
・顔認証AIによるキャッシュレス決済
・デマンド型乗合タクシー
民間型乗合サービス チョイソコカラタン
レンタサイクルのポート無人化/キャッシュレス決済対応

顔認証によるキャッシュレス決済は、株式会社トリプルアイズ岐阜ダイハツ販売株式会社パナソニックカーエレクトロニクス株式会社Facety株式会社が連携して検証を進めています。流れとしては、事前に顔画像を画像認識プラットフォームに登録しておき、バスに設置されたタブレットで顔認証すると本人確認され、運賃の決済が完了します。本人確認時には検温もされるため、バス内の感染症対策にも寄与します。

参考記事:株式会社トリプルアイズ「自動運転バスで顔認証AIによるキャッシュレス決済!岐阜市で地域先進モビリティシステムの実証実験スタート
参考資料:「「健幸都市ぎふ」出かけて健康になるまちを実現するスマートシティぎふ推進プロジェクト
参考資料:「岐阜市地域公共交通計画
参考ページ:「岐阜シェアサイクル Gifu-ride
参考ページ:「チョイソコカラタン

スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」

スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。

集客、予約、決済、来店といった一連のビジネスフローをRESERVAを導入することによって自動化を実現し、従来の予約管理方法から脱却し、店舗ビジネスのDXを実現します。

近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。

まとめ

今回は、企業と自治体の連携によってスマートシティの実現を目指す事例について、岐阜県岐阜市の「スマートシティぎふ推進プロジェクト」を取り上げました。本市は高齢化促進に対し、ICT技術を活用しながら公共交通機関の整備や人の流れに応じた道路や施設の補修を進めることで、市民が健康な心身を保ち活き活きとしたまちづくりを進めていることが確認できました。

今後も、RESERVA Digitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。

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