2022年日本のスマートシティ政策事例|柏の葉スマートシティ

2022年日本のスマートシティ政策事例|柏の葉スマートシティ

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前回の記事では、スマートシティインデックスからみる日本の位置づけや世界の動向について解説しました。今回は、日本でのスマートシティ実現を目指してさまざまなプロジェクトを実施している企業の取り組みについて紹介します。

内閣府ホームページによると、スマートシティとは「ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域」のことを指します。

日本では2016年に「第5期科学技術基本計画」が閣議決定され、政府をあげてのスマートシティへの取り組みが推進されています。また、2019年には、スマートシティへの取り組みを官民連携で加速させるためのスマートシティ官民連携プラットフォームが開設されました。スマートシティ官民連携プラットフォームは、企業、大学・研究機関、地方公共団体、関係府省らが会員となり、同プラットフォームを通じて、事業支援、分科会の開催、マッチング支援、普及促進活動などを実施しています。

以上より、日本国内でもさまざまな組織や機関がスマートシティの実現に向けて少しずつアイディアを出し、動いていることがうかがえます。

そこで本記事では、スマートシティ実現に向けて加速する動きの中から、三井不動産などが共同運営者として携わる「柏の葉スマートシティ」を取り上げ、目指すビジョンや具体的な取り組みを紹介し、スマートシティ実現のための可能性と課題について考察します。

柏の葉スマートシティの概要

柏の葉スマートシティとは、東京から約30kmの距離に位置する、千葉県北西部の柏市にあるエリアです。

総務省の調査によると、2018年時点の柏の葉エリアの人口は約9000人で、今後2万6000人の街になると想定されています(参照:総務省第32次地方制度調査会第12回専門小委員会【資料2-1】 現地調査(関東ブロック))。2005年8月にはつくばエクスプレス(TX)が開通されたことで利便性が高くなり、現在、東京大学、千葉大学、国立がん研究センター、ベンチャー企業、ららぽーと柏の葉をはじめとする商業施設、マンション、ホテルなどが点在しています。また、隣接する流山市は、5年連続で人口増加率が県内トップとなったエリアですが、TXで流山おおたかの森駅が開通し、より住みやすい街として注目されています(参照:流山市公式PRサイト)。

そして、柏の葉エリアのまちづくりの連携推進拠点として、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅西口前に柏の葉アーバンデザインセンター柏の葉(UDCK)が設立されています。UDCKの目的は、市民と行政・企業・大学などが連携してまちづくりを進めていくための場所や環境をつくることです。柏の葉スマートシティ構想にはUDCKが中核として埋め込まれ、これからのまちづくり拠点のあるべき体制・役割を模索しながら総合的なまちづくりを進めています。

柏の葉スマートシティの構想

3つのテーマからまちづくりを推進

柏の葉スマートシティは、人と地球にやさしく災害に強い「環境共生」、すべての世代が健やかに安心して暮らせる「健康長寿」、日本の新しい活力となる成長分野を育む「新産業創造」という3つのテーマを掲げ、最適解を求めながらハード面とソフト面の課題を叶えることで、「世界の未来像」を具現化していくまちづくりを目指すプロジェクトです。

柏の葉スマートシティ構想における環境共生は、「再生可能エネルギーの活用」「最先端のスマートグリッド」「ICTの地域利用」により、次世代につながる暮らしと社会の実現を目指しています

特に街全体のエネルギーを⾒える化するエネルギー管理システム「エリアエネルギーマネジメントシステム(AEMS)」を導入することで、街全体でエネルギー利用の最適化を進めています。エネルギーを地域レベルで管理し、可視化することで、事業所個々の負担を軽減し、省エネルギーの実現が見込めます。

健康長寿の観点からは、「健康の見える化」「食と運動の推進」「コミュニティとのつながり」を通して、健康増進・疾病予防を促すプログラムを提供しています

例えば、東京⼤学と企業が協働して設置した参加型の健康づくり拠点「あ・し・た」では、健康な毎⽇を⽀える「あるく」「しゃべる」「たべる」を軸に、健康に関する情報提供や健康データの計測などを⾏っています。また、柏の葉を歩きやすい街にするためのガイドラインやランニングアプリ、ランナーの交流施設を設置するなど、健康のためのウォーキング&ランニングを促進しています。

新産業創造の側面からは、大学・研究機関・インキュベーション施設が集まる新産業創造集積の街づくりを推進しています

職種や⽴場を超えた多様な⼈々が集まるイノベーション拠点として共有ワークスペースを用意したり、IoT実証フィールド環境「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」を設置したりして、近隣地域へのIoTの普及や活⽤、IoT関連ビジネスの機会創出を目指し、さまざまな参画企業・団体が活動しています。このように、さまざまなアイディアが創発されるよう、多様な人々が集まる場づくりと連携を育むコミュニティづくりがさかんに行われています。

公・民・学の連携によるまちづくり

従来の街づくりは、公共サービスを提供する自治体が中心となって進めることが多いですが、「柏の葉スマートシティ」は、自治体に加えて企業と大学も参画し、それぞれの強みを発揮することで、包括的にスマートシティ実現を目指します。

このように地域の公的サービスを提供する「公」と、地域のメンバーとして魅力をアピールしていく「民」と、専門知識や先端技術を研究・開発する「学」が連携することで、新たな知的交流がうまれ、まちづくりの仕組みを構築していきます。

柏の葉スマートシティの具体的な取り組み

柏の葉スマートシティでは、エリアとして成長しながら、環境にやさしくどのような市民でも快適に暮らせる場所を目指して、公、民、学が連携して取り組んでいることがイメージできます。

ここでは具体的にどのような取り組みがあるのか、「公」「民」「学」の3パートに分けて紹介します。

「公」の分野:市民の主体的な活動を支援

柏の葉エリアをスマートシティ化し、有効活用していくには、公共サービスの提供母体である自治体の取り組みが不可欠です。

「公」の分野では、自治体やNPOが中心となって、地域の場を活かした市民の活動をサポートしています。例えば、柏市まちづくり公社はUDCKと連携し、市民マルシェや交流会、クラブ活動といったコミュニティ支援をおこなっています。また、NPO支援センターちばによる「柏の葉キャンパスプラットフォーム」では、子どもに対する絵本の読み聞かせや、地域の番組制作、配信といったプログラムも提供しています。

画像引用元:NPO支援センターちば

「民」の分野:データを活用し地域の課題を解決

「民」の分野では、三井不動産が主体となって他機関と連携しながらスマートシティ実現に取り組んでいます。特に人・モノ・情報が集まりやすい駅中心エリアに着目し、企業の強みを活かして、民間データ・公共データ駆動型の「スマート・コンパクトシティ」の形成を目指しています。

具体的には、スムーズな移動を可能とするために車両用自動運転システムを導入したり、太陽光発電設備のパネルに1個ずつセンサーを取り付けて電力の保守管理IoTプラットフォームを導入したりしています。

生活面では、受診票ファイルに付けた個別識別タグによって、患者の院内位置情報を自動的に記録・蓄積し、待ち時間によるストレスの緩和や診察件数の増加などを目指しています。また、健康データや介護・医療のレセプトデータを収集し、市民に最適な健康サービス、アドバイスを提供しています。子育て支援の一環としては、仕事と家庭を両立したい共働きの子育て世帯のためのマンション建設にも取り組んでいます。

「学」の分野: 柏の葉国際キャンパスタウンを構築

国際学術都市づくりに向け、柏の葉エリアにおいて重点的に学術研究資源の活用と国際化を推進するため、「柏の葉国際キャンパスタウン構想」が千葉県、柏市、千葉大学、東京大学によって2008年3月に策定されました。

「公・民・学連携による国際学術研究都市・次世代環境都市=柏の葉国際キャンパスタウン」が構想の理念とされています。市民や企業、自治体と最先端の大学や公的研究機関が双方向に連携・交流するなかで、地域に暮らすすべての人々が大学とかかわり、創造的環境の中で健康的なライフスタイルを実現できる都市づくりを目指し、8つの目標を掲げています。

さらに国際キャンパスタウンにふさわしい街を目指して、留学⽣・研究者向けシェア型賃貸住宅を提供するなど、外国人研究者や学生等が暮らし、活動できるような生活環境等の充実にも取り組んでいます。

柏の葉スマートシティで期待されること

柏の葉スマートシティ構想は、公的セクターの自治体のみが取り組むのではなく、企業や研究機関などが参画してそれぞれの力を活かし、連携して取り組むプロジェクトになっています。

このように、公・民・学が連携してスマートシティ化を目指すことで、そのエリア全体でスマートシティへの意識を高め、新たな価値を創造していることがうかがえます。また、柏の葉エリアが学術都市としても充実していき、データ管理やセキュリティ対策が整い、生活面でも学習面でも暮らしやすくなれば、コミュニティの活気向上にもつながっていきます。

一方で、学術知が研究者間で閉じてしまったり、データの一元化が特定の世代の中だけで進んでしまうと、コミュニティが分断されるという課題も生まれます。どの世代も利用しやすいサービスや、暮らしやすくようなシステムづくりが必須となります。そのような取り組みが進めば、1人ひとりが地域市民としての意識を高めてスマートシティ化の動きが発展するでしょう。

スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」

スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、まず挙げられるのが、SaaSシステムの導入です。例えば、SaaS型予約管理システムして国内最大級の登録事業者数20万社を誇る「RESERVA」の場合、どのような世代でも利用しやすく、セミナー開催やオンラインレッスンなど、予約が発生するすべての業態において効率よく予約作業を進めることができます。

また近年は、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、 官民連携の良き実例としても挙げられています。システム導入はコストや管理費が高いというイメージを持たれることが多いですが、RESERVAなら安価で、誰でもかんたんに利用できるシステムとして好評を得ています。

詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。

まとめ

今回は、日本の企業が自治体等の他機関と連携して取り組んでいるスマートシティの事例について、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」を取り上げました。地域コミュニティに着目し、多くの機関を巻き込んで一体となってスマートシティ化を進める動きは今後も注目され、日本のモデルのひとつとなっていくことでしょう。

次回も日本のスマートシティ政策に関する企業の事例を取り上げます。

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