【スマートシティ政策事例】北海道室蘭市「室蘭MaaSプロジェクト」を詳しく解説!

【スマートシティ政策事例】北海道室蘭市「室蘭MaaSプロジェクト」を詳しく解説!

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古くから製造業を中心にものづくりの街として知られててきた室蘭市は、現在人口減少・少子高齢化といった課題解決に向け、民間企業と連携しながら市内のデジタル化を推進しています。

本記事では、室蘭市が実施しているスマートシティ推進策について詳しく解説していきます。

北海道室蘭市の概要

室蘭市は、北海道の南西部に位置しています。港を囲むように工場群が立地しており、北海道を代表とする重化学工業・港湾都市として知られています。一方で、太平洋に面する外海側には断崖絶壁が続いており、北海道の自然100選で1位に選ばれた地球岬など壮大な自然を有しています。工場群の美しい夜景と広大な自然のどちらも味わえるのが室蘭市の魅力です。

室蘭市はユニークなグルメも多く、室蘭名物「室蘭やきとり」は焼き鳥という名称ですが、豚肉と玉ねぎを使っており、これに洋からしをつけるのが室蘭スタイルです。本市は自然を活かした観光スポットが多く、普段立ち入ることができない公共施設を見学するインフラツーリズムや手ぶらで釣りを楽しめる「室蘭de手ぶらフィッシング」などのプランを提供しています。

人口7万6,071人(2023年12月末)
面積81.01k㎡
市役所住所北海道室蘭市幸町1番2号
市役所ホームページ室蘭市

室蘭市における課題

室蘭市の人口は1970年代の16万2059人をピークに減少を続けており、2023年現在の人口は、7万6,071人まで減少しています。人口の内訳は、0歳から14歳、15歳から64歳の人口が減少傾向にありますが、65歳以上の人口は横ばいの状態であり、人口減少と少子高齢化が課題となっています。

また、若者の市外への転出も大きな問題となっており、それにともない地元企業の人材不足、利用者・ドライバー不足による公共交通の利便性低下などの課題が生じています。

参考資料:「第6次室蘭市総合計画
参考資料:「室蘭市成長産業振興ビジョン

スマートシティ実現に向けた取り組み例

室蘭MaaSプロジェクト

MaaSとは?

MaaSとは「Mobility as a Service」の略で、バスや電車、タクシーなどの交通手段にAIやICTなどのデジタル技術を掛け合わせたサービスです。

室蘭市では少子高齢化が進んでおり、高齢化の移動手段は年齢が上がるにつれて自家用車の利用が減少し、バスなどの公共交通機関の利用が増加します。一方で、交通事業者は少子高齢化による利用者数の減少や乗務員の高齢化が問題となっています。

そこで室蘭市は、「誰もが移動に困らない街の実現のため、既存の交通手段とICT技術を活用し、市民にとって便利で快適な新たな移動サービスの導入と社会実装を進めること」を目的に、室蘭MaaSプロジェクト「いってきマース」に取り組んでいます。

2020年度は、室蘭市・室蘭テクノセンター・パナソニックITS・室蘭工業大学のと連携により、タクシーを活用した

①買い物送迎実証
②学生相乗り実証
③病院送迎実証

を実施しました。買い物送迎実証・病院送迎実証においては、自宅からスタッフが同乗し、帰宅時はスタッフがアプリからタクシーを手配するため、スムーズな送迎を実現。長い時間バスを待つ必要や沢山買い物をしても持ち帰る負担が少ないこと等が魅力となり、好意的に捉える利用者が多かったとの結果が出ています。

また、タクシーの稼働率がアップし、デジタルサービスを通じて予約が入るため、効率的に顧客を獲得できるといった利点があります。

2021年度は、経済産業省の「地域新MaaS創出推進事業」に採択され、市における課題解決に向け、積極的に新たな取り組みに挑戦している姿が確認できました。

ニューラルポケット株式会社との連携

室蘭市は市内の賑わい創出に向けて、AI技術の研究開発と事業化を実施しているニューラルポケット株式会社と連携しています。「道の駅みたら室蘭」にデジタルサイネージ型のカメラ筐体を設置し、施設の来訪者の人数や属性情報、動線を取得・可視化することで、観光客のニーズを把握し、より利便性の高い売り場配置や商品・メニューの開発を行っています。

また、2020年12月にはニューラルポケットと「AI技術を活用した地域活性化に関する連携協定」を締結し、AI技術を活用しながらまちづくりの高度化を推進しています。

参考記事:北海道建設新聞社「道の駅にAI搭載のデジタルサイネージ設置 室蘭市
参考資料:ニュートラルポケット株式会社「ニューラルポケット、室蘭市に対して最先端のAI技術を活用した観光施設の利用状況可視化ソリューションの提供を開始

室蘭IOTラボ

株式会社ビッグボイスは、本市が抱える課題をIoTの活用によって解決することを目指し、産学官連携の拠点として室蘭テクノセンター内に室蘭IoTラボを開設しました。ビッグボイスは道内のDX化・中小企業の活性化、室蘭市出身者のUターンを目指し、本市と「UIJターン就職に関する包括連携協定」も締結しています。

参考記事:北海道建設新聞社「ビックボイスが室蘭にIoTラボ 室蘭工大などと連携へ
参考記事:株式会社ビッグボイス「室蘭市に室蘭IOTラボを新規オープン
参考ページ:室蘭市「株式会社ビッグボイス

室蘭市IoT推進ラボ

本市は、2019年に経済産業省、IoT推進ラボ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、地域におけるIoTプロジェクト創出のための取り組みを選定する、地方版IoT推進ラボに選ばれています。室蘭市IoT推進ラボでは、教育機関・民間企業に最先端技術を学ぶ場・情報交換の場を提供し、市内連携を強め、課題解決ためのアイディア創出に取り組んでいます。

参考ページ:室蘭市「室蘭市IoT推進ラボ
参考ページ:「室蘭市IoT推進ラボについて

スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」

スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。

集客、予約、決済、来店といった一連のビジネスフローをRESERVAを導入することによって自動化を実現し、従来の予約管理方法から脱却し、店舗ビジネスのDXを実現します。

近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。

まとめ

今回は、企業と自治体の連携によってスマートシティの実現を目指す事例について、北海道室蘭市の「MaaSプロジェクト」を取り上げました。市の現状を把握し、検証を実施する中で利用者の意見を取り入れ、施策を改善していくことで、誰も取り残さない優しいまちづくりとスマートシティ化を両立していることが確認できました。

今後も、RESERVA Digitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。

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