日本のスマートシティ政策事例|トヨタ「Woven City(ウーブン・シティ)」

日本のスマートシティ政策事例|トヨタ「Woven City(ウーブン・シティ)」

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内閣府ホームページによると、スマートシティとは「ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域」のことを指します。

日本では2016年に「第5期科学技術基本計画」が閣議決定され、政府をあげてのスマートシティへの取り組みが推進されています。また、2019年には、スマートシティへの取り組みを官民連携で加速させるためのスマートシティ官民連携プラットフォームが開設されました。スマートシティ官民連携プラットフォームは、企業、大学・研究機関、地方公共団体、関係府省らが会員となり、同プラットフォームを通じて、事業支援、分科会の開催、マッチング支援、普及促進活動などを実施しています。

以上より、日本国内でもさまざまな組織や機関がスマートシティの実現に向けて少しずつアイディアを出し、動いていることがうかがえます。

前回の記事では、日本でのスマートシティ実現を目指してさまざまなプロジェクトを実施している企業から東京都港区の「Smart City Takeshiba(スマートシティ竹芝)」を取り上げました。今回は、静岡県裾野市のトヨタによる「Woven City(ウーブン・シティ)」を事例に挙げ、コンセプトや具体的な取り組みを紹介し、スマートシティ実現のための可能性と課題について考察します。

Woven Cityとは何か

トヨタが開発したWoven City(ウーブンシティ)とは、静岡県裾野市にある実験都市、「テストコースの街」です。裾野市はトヨタ自動車東日本の東富士工場跡地で、広さは175エーカー(70万8000㎡)となっています。Woven Cityは2021年より着工し、まずはトヨタの従業員や関係者を中心に2000名程度の住民の入居を想定しています。

Woven Cityは「幸せの量産 / Well-being for All」を目的としています。これまでトヨタが培ってきた技術をヒト・モノ・情報まで拡張し、「モビリティの拡張」をビジョンとして掲げ、実際に人々が暮らす街で、幸せに生きていくための新たなサービスを提供し、ヒト中心の未来をつくるプロジェクトです。

英語の「woven」とは日本語で「織り込まれた」という意味です。これはトヨタ祖業の自動織機に由来し、街を通る道が網の目のように織り込まれたデザインを表しています。

Woven Cityのコンセプトと構想

Woven Cityのコンセプトは、「ヒト中心の街」「実証実験の街」「未完成の街」です。

ヒト中心の街」とは、住民の幸せを考えた街づくりを指します。Woven Cityはクルマの安全とともに、道、人を加えた三位一体で安全を確保するためのテストコースです。ヒト中心の街を作らない限り安全な自動運転はできないというトヨタの思いが込められています。

実証実験の街」とは、新たな製品や開発を加速する機会を創出する街という意味です。Woven Cityを建設することで、他企業や研究者と提携することができ、自動運転やクリーンエネルギーなどの新たな技術をスピーディーに検証することができます。

最後にWoven Cityの「未完成の街」とは、ヒトそれぞれに異なった幸せを生み出すために、常に進化、改善を続けるというトヨタの精神を表しています。

なお、街のインフラやデザインは現在検討中で、実際の建設状況はWoven City公式YouTubeチャンネルで公開されています。

Woven City実現に向けての具体的な取り組み

Woven Cityでは、「モビリティの拡張」を実現するサービスを開発しています。上の図のように、モビリティを12の領域と組み合わせて、「モビリティ=クルマや移動手段」という枠を飛び越え、モビリティがヒトのためにできることを増やしていきます。また、他企業と共に実証を行う分野もあります。ここでは、エネルギー、IoT、物流、食料の4つの観点から具体的な取り組みを紹介します。

エネルギー面

ENEOS株式会社とトヨタは、水素を「つくる」「運ぶ」「使う」という一連のサプライチェーンに関する実証をWoven Cityおよびその近隣で行っています。

具体的には、水素を「つくる」水素ステーションと、水素を「使う」燃料電池自動車(FCEV)を連携させ、水素利活用の取り組みをさらに加速させています。カーボンニュートラルの実現に向け、Woven Cityを起点に誰もが気軽にクリーンなエネルギーを使える社会の実現を目指し、実証を行っています(TOYOTA「ENEOS、トヨタ、ウーブン・プラネット、Woven Cityを起点としたCO2フリー水素の製造と利用を共同で推進」より)。

IoT面

住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざし、日本電信電話株式会社(NTT)とトヨタ自動車は、「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、先行ケースとして、まずはWoven Cityと東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)にて実装しています。

「スマートシティプラットフォーム」は、住民・企業・自治体等向け価値提供の基盤となり、スマートシティのデータマネジメントと情報流通、実在の街をリアルタイムに仮想空間で再現、試行結果をフィードバックする「デジタルツイン(まちづくりシミュレーション)」で構成されています(TOYOTA「NTTとトヨタ自動車、業務資本提携に合意」より)。

物流面

Woven Cityを手掛ける日本橋のオフィスWoven Planet Holdingsには、Woven Cityの地下に設置予定の物流センターがあります。

このセンターには、リアルに再現されたトラックの荷台があり、貼り付けられた配送伝票をスマートフォンで読み取ると、タブレットに荷物の詳細情報が表示されるような仕組みが導入されています。このように荷物をIoT化してトラッキングすることで、遅れや進みといった荷物情報をリアルタイムで検知できるようになります(トヨタイムズ「森田記者が見た「未来の都市」の現在地」より)。

食料面

Woven Cityでは、日清食品が研究を進める「完全栄養食メニュー」の提供を通じた住民の食の選択肢拡充と健康増進の共同実証を行っています。1人ひとりに最適な「完全栄養食メニュー」についてのデータ提供を通して、Well-Beingの実現に向けた実証を進めています。

日清食品は、「Beyond Instant Foods」をスローガンに、即席食品の価値を超えた新たな食文化の創造に挑戦しています。「実証実験の街」としてのWoven Cityにおいて、食料をテーマに1人ひとりにつながる幸せについて検証する取り組みです。

TOYOTA Woven Cityに期待されること

TOYOTA Woven Cityは、実際に実証都市を建設しながらスマートシティ実現を目指す、理念と実践にもとづいたプロジェクトです。

このように、都市を作りながら企業が主導して周囲の人や情報を巻き込んでスマートシティ化を目指すことで、スマートシティ化の計画を練りながら実証実験を進めて社会にインパクトを残していくことができるといえます。将来、Woven Cityに人々が住むようになれば、スマートシティの効果が目に見えるようになるでしょう。

Woven Cityはまだ建設中ですが、トヨタの自動車製造のノウハウを発展させて「モビリティの拡張」に取り組むことよって、人々の移動手段だけでなく、人々の幸せの実現にもつながります。理想的なスマートシティの実現には、企業の取り組みと地域住民のニーズも求められます。住民の声にも耳を傾け、実証都市の構築が進めば、Woven Cityは街の課題を解決した持続可能な都市へと成長できるでしょう。

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スマートシティの実現には、企業同士、企業内のチーム同士の連携が欠かせません。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、まず挙げられるのが、SaaSシステムの導入です。例えば、SaaS型予約管理システムして国内最大級の登録事業者数26万社を誇る「RESERVA」の場合、どのような世代でも利用しやすく、セミナー開催やオンラインレッスンなど、予約が発生するすべての業態において効率よく予約作業を進めることができます。

また近年は、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、 官民連携の良き実例としても挙げられています。システム導入はコストや管理費が高いというイメージを持たれることが多いですが、RESERVAなら安価で、誰でもかんたんに利用できるシステムとして好評を得ています。

詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。

まとめ

今回は、日本の企業が率先して推進しているスマートシティの事例について、静岡県裾野市の「トヨタWoven City(ウーブン・シティ)」を取り上げました。実証都市を建設し、そのエリアでスマートシティ化を進める動きは今後も注目され、新たなスマートシティ戦略となるでしょう。

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