【2022年版】大学DX化取り組み実態調査レポート|九州大学のデジタル化事例紹介

【2022年版】大学DX化取り組み実態調査レポート|九州大学のデジタル化事例紹介

更新

近年、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)、ICT、IoTといった言葉を耳にする機会が増えました。新型コロナウイルスの影響で、テレワークの推進や業務のリモート化などが急務となったことにより、DX化に向かう流れになったことが主な要因と考えられます。

高等教育機関である大学でもDX化の動きが見られます。一例としてオンライン授業が行われ、PCとインターネットにつながる環境があれば学外から授業を受けることができます。以前より一部大学ではサテライト授業として遠隔授業は行われていましたが、多くはコロナウイルスの影響により実装されたものです。コロナ後も移動にかかる時間やコストの節減になり、より自由な学びのスタイルを実現できます。

一方で、大学は独自性が高く私立大学と国立大学など学校ごとに財源規模の違いや専門性の違いがあり、教職員や生徒のDXやICTへの理解度も大きく異なります。そこで、本記事ではDX化へ積極的に取り組む先進的な大学を取り上げ、独自に設けた評価項目で採点し、その取り組みのポイントをかんたんにまとめてご紹介します。

大学DX化の取り組み評価

目的と方法

これからDX化に向けて取り組む大学に向けた情報発信を目的として、DX化に積極的に取り組む大学における「DX化の現状」「DX化に向けた課題」を整理し、実際の事例や画期的な取り組みをピックアップして解説していきます。

「DX化の現状」について、当社では、取り組みの進行度やDXの充実ぶりを可視化するために、当社予約システムに関する全国の大学からのご相談、お問い合わせ、受注実績やノウハウを基にして、大学におけるDXの取り組みについて30の評価項目を独自に作成しました。

大学DX化の取り組み評価では、この評価項目を元に評価、採点を行っていきます。

評価項目

作成:RESERVA編集部

大学のDX化におけるメリット

大学のDX化においては、特に学びの自由度と質を大きく向上させるという点が期待されます。DX化のメリットとして、可能になると予想される学びの形について説明します。

  • 時間・場所からの解放
    授業をオンライン化することで、教員や学生は移動が不要になり、その分の時間を有効活用できます。また、動画での講義やアーカイブを利用すると好きな時間・場所で自由に受講することも可能です。
    これらの取り組みが進んでいくと、オンライン授業のノウハウが教職員の中に蓄積され、海外ではよくある「社会人になって以降に大学で学び直す」といった、「社会人の学び直し」の取り組みが日本においても普及しやすくなると考えられます。
  • 学びの可視化と質の向上
    カリキュラムが完全オンラインに対応できれば、受講状況や単元ごとに試験を実施し結果に応じて学習の習熟度や進行度を可視化することが容易です。
    特に、大学では1人の教員が100人以上の生徒の対応をすることも珍しくないため、オンライン化により結果的に細やかなチェックが可能となり、体系的な学びの質向上につながると予想されます。

この他にも、大学事務の業務効率化や学生生活の利便化などのメリットが考えられ、大学のDX化は新規学生獲得や教職員の負担軽減に向けても重要な役割を持っていると考えられます。

大学DX化の事例:MOOC

MOOC(Massive Open Online Course)はオンラインで行われるオープンな大学の講義のことです。代表的なプラットフォームとしては「Coursera(コーセラ)」や「edX(エデックス)」があり、日本にも「JMOOC」というプラットフォームがあります。

MOOCでは様々な分野の講義が無料または少額で受講できます。「Coursera」や「edX」では修了証の取得時に支払いが生じる場合がありますが、JMOOCでは無料で修了証の取得が可能です。修了証は専門性の証明としても活用でき、学びの新しい形として世界的に注目されています。

大学のDX化における課題

  • DX化、ICTについての知識不足
    DX化を主導する教職員と、利用する学生のどちらについても、DXやICTに関する知識が不足しているケースが考えられます。システムの導入だけでなく利用者が十分に活用できるように適切な知識を周知していく必要があります。
  • インフラの整備コスト
    学生各自が個人でデバイスを持ち歩き、作業できる環境を整えることは学生主体の学びに大きな意味を持ちます。一方で、ある程度の作業が可能なパソコンやタブレットを自力で用意するのは学生に対する経済的負担が大きいため、何らかの支援策が必要だといえます。
  • 紙媒体のやりとりの多さ
    レジュメなどの配布物や掲示物は紙媒体でのやりとりが基本であり、学生向けの掲示板を利用している学校も少なくありません。各種申請も含めて紙を介さないWeb上で情報をやりとりするしくみが必要です。
  • 学生本位の取り組みになっているか
    DX化による教職員の業務効率化はもちろん重要ですが、大学に所属する人のほとんどは学生であるため、大学のDX化は学生を対象として、学生の利便性に向けてどれだけ取り組みが行われているかがポイントとなります。
  • 多言語での対応が可能になっているか
    文部科学省の集計によると、大学と大学院を合わせた留学生の割合は約4.6%であり、100人につき4~5人は留学生です。今後も日本の少子化が進行して学生の減少が見込まれることから、留学生の獲得は大学の将来について重要な観点であるといえるでしょう。

九州大学の評価と解説

当社独自の調査項目に照らし、九州大学の得点は30点中28点という全国でも高い水準でDXに取り組んでいる大学であると評価されました。特に、先進的な研究や実証実験への取り組みや、企業や自治体と積極的に連携して取り組んでいる点が特徴です。そんな九州大学の取り組みの中でも特に注目されるポイントについて解説します。

評価結果

作成:RESERVA編集部

ラーニングアナリティクスセンター(LAC)の設置

ラーニングアナリティクスとは

ラーニングアナリティクス(LA)は「データの分析に基づいてより効果的な教育・学習を実現することを目的とした新しい学問分野であり、情報学、情報科学、教育工学、教育学、学習科学などから構成される学際領域研究である」(九州大学ラーニングアナリティクスセンター公式サイトより引用)とされ、教育や学習のデータをもとに個人に合わせた柔軟な指導を可能にすることが期待されています。また、Edtech(エドテック)と呼ばれる教育とデジタルやICTを融合させた今後発展が期待される技術の1つです。

九州大学では2016年2月にセンターを設立するほど早くからLAに力を入れており、現時点では日本国内の大学でもっともLAが進んでいると言っても過言ではありません。

さらに、大学教育のDX支援の形として全国にその研究成果や取り組みを拡大する、その第一歩としてNTT西日本と共同で2022年4月から広島市立大学でLAのトライアルを実施することがわかっています。

こちらの取り組みは文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」にも採択されており、今後の日本の高等教育を支える変革の1つとして大きな期待がかかります。

公式サイト:九州大学ラーニングアナリティクスセンター
参考記事:九州大学とNTT西が教育ビッグデータで成果を分析するラーニングアナリティクス全国展開、広島市立大学で共同トライアル

九大生向けメンタルヘルスアプリ「Q-Mental APP」

九州大学では所属する学生向けにメンタルヘルス支援スマートフォンアプリ「Q-Mental APP(Qメンタルアップ)」を提供しています。毎日の運動・食欲・睡眠時間・気分を記録する機能や、メンタルヘルス疾患の簡易スクリーニングができる診断機能などが搭載されています。

アプリの特徴として、メンタルヘルスで困ったときに内容に合わせた相談先が表示できる機能が搭載されています。この機能は九州大学の学生を対象とした相談先が表示されますが、相談先をカスタマイズできるようになっているため他の大学でも活用できます。

九州大学公式サイト:九大生向けメンタルヘルスアプリ「Q-Mental APP」の無料配信を開始

スマートモビリティ「aimo」

「aimo(アイモ)」は、九州大学伊都キャンパスで導入されているキャンパス内で利用できるスマートモビリティです。伊都キャンパスは272haの広さを誇り、キャンパスとしては日本一の広さのため、キャンパス内の移動手段の1つとして運用されています。

「aimo」は株式会社NTTドコモが開発した「AI運行バス」の仕組みを利用して、リアルタイムに発生する乗降リクエストに対し、効率的な車両・ルートをAIが算出します。利用者はアプリから乗降位置と乗車人数を入力することでバスを利用できます。

時刻表を持たず乗降ポイントを多数設置した乗り合いバスとして、「全体最適化」という考え方に基づいたしくみがあるため、一定のルートを走行するわけではないために到着時刻の保証がないなど、利用する際には注意点もあります。

この事例は実証実験からそのまま導入に至ったため、今後全国に同様のスマートモビリティの導入が進む可能性があります。

公式サイト:aimo

「九州DX推進コンソーシアム」

「九州DX推進コンソーシアム」は九州大学、一般社団法人九州経済連合会、福岡県、デロイト トーマツ グループが設立した、福岡県をはじめとして、九州における社会経済活動全般のDXを産学官金が一体となって、推進することを目的とした組織です。

地域におけるデジタル人材の育成や、デジタル技術の活用による地域課題の解決と新たな産業の創造を推進し、持続可能な地域社会と経済発展を実現することを目的としています。

九州大学公式サイト:「九州DX推進コンソーシアム」の設立について~地域におけるデジタル人材育成と産業創出を推進~

評価項目

今回は、大学の公式ホームページや大学の取材記事などを基に、DX化に関する大学の取り組みの有無について独自に調査しました。ここでは、採点に利用した30項目を3つの観点について分類した上で、DXにおけるポイントや学生本位となる大学運営について解説します

方針・施策について(観点①)

DX化を進める上での方針や施策、DX化やICT活用に関する部署の有無、民間企業や行政との連携、プロモーションにおけるメディアの活用など、DX化に向けた組織作りや方向性などが示されているかを評価しました。

  • 民間企業との連携によりデジタル化推進の実績がある
  • 産学官連携によるDX化のプロジェクト企画が行われている
  • 大学独自のデジタル化指針を公表している
  • 文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」に採択されている
  • 大学でDX人材の育成を宣言、または育成カリキュラムがある
  • DX推進課やICT活用室など明確にDX化に関する部署がある
  • Webを通じたプロモーションがメディアに取り上げられている

学校業務や授業の効率化について(観点②)

大学運営側の視点から、ICTを活用した業務の効率化に関する取り組みについて評価しました。ペーパーレス化やオンライン授業の導入、予約システムの利用など授業や業務の効率化・省人化に関するものが主に含まれます。

  • 各キャンパスごとに情報環境の運営をする部署(例:情報センター)がある
  • 施設利用などに予約システムの導入を行っている
  • 授業のオンライン化実績が確認される
  • 授業のオンライン化が体制化、対面とオンラインのハイブリッド運用が確立している
  • 講義においてデジタル活用を前提とした大学指定のデバイスがある
  • BYOD(Bring Your Own Device)を導入している
  • 学内の手続きや授業において、ペーパーレス化を宣言して取り組んでいる

在校生・卒業生・受験生向けの取り組みについて(観点③)

DX化として重要な観点となるユーザー側、大学では学生向けの取り組みで、今回は在校生だけでなく、卒業生や受験生への取り組みも含めました。証明書類の申請やオープンキャンパスのオンライン化など、大学に関わる人々がよりよく過ごせるような取り組みがなされているかを評価しました。

  • ホームページにアクセスする上でサイトの表示速度が十分にある
  • 大学の情報発信を目的としてYouTubeチャンネルを開設している
  • 大学公式のTwitter/Instagram/Facebookの公式アカウントがある
  • 大学公式SNSの更新頻度は週1以上ある
  • 学生の質問にチャットボットを導入して対応している
  • 緊急時などのメール通知機能がある
  • 大学が提供するアプリケーションがある
  • 在学証明書などの発行をオンラインで申請できる
  • キャリア・就職支援についてオンライン相談を行っている
  • オンラインでのオープンキャンパスが実施されている
  • 留学生の誘致を目的として、多言語でのオンラインセミナーなどを実施している
  • moodleやGoogle classroomなどの学習支援システム(LMS)を活用している
  • 在校生や教員はOffice 365などのソフトウェアが使える
  • 大学図書館の所蔵資料がWeb上で電子データとして閲覧できる
  • 大学独自のクラウドストレージサービスがある

これらの調査項目は調査を続けていきながら、随時追加、改善していく予定です。

九州大学|調査のまとめ

九州大学ではラーニングアナリティクスの推進やスマートモビリティの実証実験も含めて、非常に先進的な取り組みを行っています。また、今回取り上げたもの以外にも、企業や自治体と連携して様々なコンソーシアムに参加していることから、研究成果や知見を広く社会に還元する姿勢が強いことがわかります。

九州大学に今後期待される取り組みとしては以下のものがあります。

  • LAの国内普及に向けた取り組み
    九州大学はLAにいち早く取り組んでいた大学であり、大学DXに求められる要素の1つである「学びの可視化と質向上」という観点ではLAは重要な取り組みです。日本の高等教育のレベルを一段押し上げる役割を担うのは他でもない九州大学かもしれません。
  • 福岡県、九州全域との協力体制
    九州大学は福岡県にキャンパスを持つ「旧帝大」の1つです。古くから九州に根差しながら、九州大学はDXに対して積極的であり、さらに九州には各地にDXに取り組む自治体が確認されていることからも、各自治体と協力しながら九州全体のDX化を牽引することに期待が高まります。

九州大学は他にも数学・統計学専攻の学生に対して修士博士一貫の「マス・フォア・イノベーション卓越大学院」を設置し、大学から企業まで活躍できる数学博士の育成を目指すなど、人材育成でも多角的にDXに貢献しています。

また、文部科学省主導で大学等の高等教育DX化に対して、

デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン
成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT-Pro)

などのDX化に関する取り組みを実施しています。

大学におけるRESERVA予約システムの活用

九州大学でも行われているDX化による利便性の向上や、ICT活用による業務の効率化、省人化。こういった課題にかんたんに取り組めるのが「SaaS型予約システムの導入」です。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/は、20万の事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、大学や専門学校などの教育機関でも導入が増えている、最も選ばれている予約システムです。業務の効率化を進めて、より先進的な大学運営の仕組み作りに向け、業務の効率化に貢献します。

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