コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行により、店舗を経営する事業者の多くが厳しい状況下での営業を強いられてきました。しかし、緊急事態宣言解除や進歩するワクチン開発によって、コロナ禍後(アフターコロナ)がとうとう見えてきました。そのため、
「コロナ禍後(アフターコロナ)の集客戦略を今のうちに立てておく」
この前向きな未来の計画を立てていきましょう。
本シリーズでは業種毎のコロナ禍後(アフターコロナ)の集客ノウハウについてご紹介いたします。今回はアフターコロナでヘアサロンの営業を軌道に乗せるための3つの条件についてお話しします。
ヘアサロンの取組み
コロナ禍を通して全国のヘアサロンの運営にも変化が見られるようになりました。ヘアサロンは性質上、あまり広くはない空間でお客様とスタッフがコミュニケーションを取ってサービスを提供していきます。
アフターコロナが見えてきたとはいえ、コロナ禍以前の状態に完全に戻るとは言えません。実際に大阪、兵庫、宮城の3府県では、2021年4月の対策本部において、「まん延防止措置(まん防)」の適応が決定されました。これを見てわかる通り、世間がアフターコロナ期に向かっていっても、依然としてコロナ対策を徹底していく必要があります。
(参考記事:日本経済新聞「『まん延防止』大阪・兵庫・宮城 大企業に最大20万円」)
そこで、ヘアサロンが行っている代表的なコロナ対策について見ていきましょう。
パーテーションの設置
ヘアサロンでは鏡と座席が一定間隔で設置されていることが多く、定位置からは移動できない場合がほとんどです。
そのため、 席と席の間にアクリル板などのパーテーション(仕切り)を設置し、飛沫による感染を防止しているヘアサロンをよく見かけます。
検温
ヘアサロンや飲食店などに入るとき、検温を実施されたことがある方は多いと思います。
2020年5月7日までは厚生労働省が公表したコロナ感染の定義として「37.5度以上の発熱が4日以上」がありましたが、2020年5月8日からは発熱の度数や日数に関する具体的な定義は削除されました(参考記事:「37.5度以上」削除 PCR相談目安改定 幅広い受診促す(日本経済新聞))。
しかし37.5度以上の発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症感染の疑いを懸念し入場を断るなどの行動制限の方針を打ち出している事業者、自治体も多いため、検温の有効性は依然高いままといえます。
(東京都福祉保健局より「新型コロナウイルス感染症について」)
店舗による検温では主に額や手首から体温を測定可能で、なおかつ機器が直接皮膚に触れない「非接触式体温計」が使用されています。
除菌の徹底
コロナウイルス感染予防において、除菌は非常に有効な手段です。
ヘアサロンの場合スタイリストと顧客が直に触れ合う機会が多いため、手指のアルコール除菌はもちろん、はさみやコームをはじめとした器具の隅々まで除菌する必要があります。
アルコールの他に、次亜塩素酸精製水もコロナウイルスへの有効性が確認されています。
ただし、空気清浄器のような機器やスプレーボトル(霧吹き)での空間噴霧に関しては、安全性の観点から意見が割れており、現状は行うべきではないとの風潮が強いようです。
消毒・殺菌に関する詳細な情報は下記からご確認ください。
新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)(経済産業省、消費者庁、厚生労働省)
マスク・ゴーグル・手袋の着用
除菌・殺菌を徹底したうえで、マスクやゴーグル、使い捨て手袋を着用するとより強力にコロナウイルスの感染を予防できます。
コロナウイルス(COVID-19)はのどや目の粘膜から感染するとされており、マスクの他にゴーグルも感染予防として有効なのです。
ヘアサロンで使用するマスクは通常の耳掛けタイプよりもひもなしタイプ(皮膚に貼るタイプ)をおすすめします。
頭髪をカットする際、耳付近の紐が邪魔にならずスムーズに業務を行えるでしょう。
他にも顧客に対してネックペーパーを装着してもらう、小さな声で鏡越しに会話する、などの取り組みを行っているヘアサロンもあります。
他店のコロナ対策も参考にしつつ、より感染予防効果の高い施策を取り入れていきましょう。
コロナ禍後に生き残るヘアサロン、3つの条件
コロナ禍からコロナ禍後にかけて、ヘアサロンの運営者が意識的に行うべき対策を3つの条件として挙げてみます。
「3密」を避ける
「3密」とは「密接」「密閉」「密集」のことを指します。
ヘアサロンでは美容師と顧客の距離が必然的に近くなり(密接)、ほとんど全てのヘアサロンは屋内で営業されます(密閉)。また、小売店や飲食店は大小様々な規模で展開しているのに対し、 ヘアサロンは通常、比較的コンパクトなスペースで運営しています(密集)。
以上のことから、ヘアサロンはコロナ禍では避けるよう言われている「3密」の定義に当てはまりやすい業態と言えるでしょう。
では、ヘアサロンが「3密」を避けて運営するには、具体的にどのような方法があるでしょうか。
「密接」を避ける方法
・マスク・フェイスシールド・手袋の着用
・建物内での会話を最小限に抑える
・要望などは、予約システムでアンケートに答えてもらう形式にする
・対面でなく、オンラインや電話でカウンセリングを行う
・現金やクレジットカードではなく、電子マネーの利用を促す
・コイントレーを介した金銭の受け渡しを行う
上記の施策は、コロナウイルスが「接触」「飛沫」によって感染すると判明している為、推奨されています。直接何かに触れたり、空気中の唾液が感染経路となる事態を未然に防ぐ意識を持ちましょう。
「密閉」を避ける方法
・店内を定期的に換気する。可能であれば窓を開けたままにしておく
・従業員が外気に触れられるよう、一定時間につき小休憩を挟む
店内の空気を入れ替えないまま循環させていると、もしコロナウイルスが紛れ込んだ時に逃げ場が無くなってしまい、感染リスクが上昇します。
ヘアサロンでは特に、スタッフとお客様の会話や交流が多くなりがちなため、定期的に換気を行うことで感染リスクを軽減しましょう。
「密集」を避ける方法
・顧客の間に距離が空けられるよう、着席可能な席を一つ飛ばしで設置する
・予約が一杯になり、密集状態を作り出さないように予約可能枠を減らす
・店のキャパシティに対して人数が過密になると予想される場合は入店制限を行う
・営業時間を短縮する
「密集」に関しては、店舗の規模やそこに集まる人の数で大きく深刻度が変化します。店舗の面積当たりの人口密度が高まれば、その分集団感染のリスクが高まります。
厚生労働省が発表した
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例
によると、
人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
とあります。
店舗内で2mの距離を空けることは、時に難しいのも確かです。ですが、2mが難しくてもその半分の1mでしたら、実施可能な店舗の数はぐっと増加するでしょう。
できる限り「人と人の距離(ソーシャルディスタンス)をとる」ことに注力し、「密集」による感染を予防しましょう。
衛生管理を徹底する
ヘアサロンでは、スタイリングチェアやタオル、ハサミやコームなど直に患者に触れるものを多く扱います。そのため、使いまわして他の患者や従業員に感染する可能性については非常に敏感になる必要があります。
具体的に気を付けたい点は、
・スタイリスト(美容師)は施術前に消毒する
・備品や器具のアルコール消毒を徹底する
・備品や器具は洗浄・消毒・殺菌の3段階で清潔に保つ
・ペーパータオルや使い捨て手袋など、使い捨てに切り替えられるものを探してみる
・店内の清掃を一定時間毎に行う
・従業員の健康管理を徹底する
などです。
多くのヘアサロンではコロナウイルス(COVID-19)が流行する以前から徹底した衛生管理を行っています。
しかし人々の衛生意識が高まっている昨今、普段よりも更に高い衛生意識を持ち、それをアピールすれば、顧客により安心感を与えられます。
コロナ対策への取り組みを周知する
ここまでお話ししました内容は、コロナウイルスの感染を予防するための対策をまとめたものでした。一方、本項では前述の2項とは少し毛色が異なり、「店舗の運営にあたってプラスになる」施策についてご紹介いたします。
「3密」への配慮や衛生管理の徹底は、店舗がそれをしっかりと行っているのかどうか、顧客から気づかれないことがあります。ですので、顧客へのアピール活動の一環として、「どのようなコロナ対策を行っているか」を分かりやすい形で提示すると効果的です。
例えば、
・感染予防への取り組みをステッカーやPOPにして店内に設置する
・各自治体が発行している「コロナ対策認可」ステッカーを店内の目立つ場所に貼る
・ホームページや予約サイトに、コロナ対策や衛生管理に関する取り組み内容を記載する
などがあります。
ホームページや予約サイト上のコロナ対策アピールは忘れがちですが、インターネット上で不特定多数に閲覧される為、アピール効果は抜群です。
RESERVA予約システムでできる周知方法
例えばRESERVA(レゼルバ)予約システムでは、
- 感染予防対策実施の文言をサイト情報に記載
(管理画面>基本設定>ビジネス情報登録>サイト情報)
- サイト情報の写真を感染予防対策している画像に変更
(管理画面>基本設定>その他詳細設定)
- 予約時のアンケートにコロナウイルスに関するチェック項目を設ける
(管理画面>高度な設定>顧客項目設定・予約時アンケート設定>予約時アンケート設定ボタン>質問を作成する)
- コロナウイルス関連の情報をメールにして自動配信
(管理画面>顧客サポート>お知らせ作成>お知らせ作成ボタン)
このような予約サイトの訪問者に向けた感染予防対策アピールが簡単な設定で行えます。
お客様がネットから予約する際に利用する予約サイト。
店舗利用者の多くが目にする予約サイトだからこそ、コロナ対策への取り組みを確実に周知できます。
まとめ|関連記事
コロナ禍が過ぎ去った後、ヘアサロンの運営を軌道に乗せるために必要な「3つの条件」についてご紹介いたしました。
感染予防対策をしっかりと行った後には、必ずホームページや予約サイト上での顧客アピールを行いましょう。そうすることで、お客様に安心してご利用いただけるばかりか、コロナ後の継続顧客の獲得にもつながります。
以上の点をこれからの店舗運営にぜひお役立てください。
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【さいごに】
本記事に掲載されている内容は、2021年4月時点のものです。今後、厚生労働省などが提供しているコロナウイルスに関する情報が変更される可能性があります。