コロナウイルス(COVID-19)の影響で、実店舗を構える多くの事業者が業務縮小を余儀なくされるなど、苦境に立たされてきました。しかし、緊急事態宣言解除やワクチン開発の進歩などによって、コロナ禍後(アフターコロナ)がとうとう見えてきました。そのため、
「コロナ禍後(アフターコロナ)の集客戦略を今のうちに立てておくこと」
この前向きな未来の計画を立てておくことが重要です。
このシリーズでは業種毎のアフターコロナの集客ノウハウについて紹介します。今回はアフターコロナでレンタルスペースの営業を軌道に乗せるための3つの条件についてお話しします。
そもそもレンタルスペースとは?
レンタルスペースとは、文字通りスペースを貸し出すサービスの総称です。
レンタルスペースとよく似たサービスにレンタルルームがありますが、レンタルルームがマンションの一室やビルの一室を時間で貸し出すサービスであるのに対し、レンタルスペースはある場所の一角を時間で貸し出すサービスです。
レンタルスペースは空いた土地を駐車場・駐輪場として貸し出したり、ビルにある一室や店舗全体・店舗の一角、会議室などを時間単位で貸し出すサービスです。特に貸し会議室は、その手軽さとライトな金額設定でスタートアップ企業などから人気を集めています。
レンタルスペースもレンタルルームも「場所の時間貸しサービス」である点は共通していますが、レンタルスペースのほうがより取り扱う「場所」の定義が幅広いサービスといえます。
本記事ではコロナ禍~コロナ禍後におけるレンタルスペースの集客戦略を取り扱いますので、レンタルスペースの中でも貸し会議室など屋内の敷地を貸し出す業態に焦点を当てて解説していきます。
ですので、駐車場などの屋外スペースの貸し出しに関しては必ずしも当てはまらない箇所があることをご了承ください。
レンタルスペース事業者の取組み
コロナ禍を通して全国のレンタルスペースの運営にも変化が見られるようになりました。レンタルスペースでは、同じスペースを不特定多数の人が使いまわしていきます。
アフターコロナが見えてきたとはいえ、コロナ禍以前の状態に完全に戻るとは言えません。実際に大阪、兵庫、宮城の3府県では、2021年4月の対策本部において、「まん延防止措置(まん防)」の適応が決定されました。これを見てわかる通り、世間がアフターコロナ期に向かっていっても、依然としてコロナ対策を徹底していく必要があります。
(参考記事:日本経済新聞「『まん延防止』大阪・兵庫・宮城 大企業に最大20万円」)
そこで、レンタルスペースが行っている代表的なコロナ対策について見ていきましょう。
利用可能人数の制限
レンタルスペースの収容人数を制限してお客様(ゲスト)同士の密接状態を緩和できます。
また、貸し会議室などで備え付けの家具や家電がある場合は、人と人の距離(ソーシャルディスタンス)がとれるような配置にしたり、一時的に搬出してしまっても良いでしょう。
除菌・消毒の徹底
コロナウイルス感染予防において、除菌は非常に有効な手段です。
レンタルスペースの予約の合間に、家具やドアノブの除菌・消毒を徹底しましょう。
不特定多数のお客様が出入りするレンタルスペースでは、お客様がどのように利用されているか全てを把握することはできません。
そのため、人が触れると思われる箇所をこまめな清掃により清潔に保つことで、コロナウイルスへの集団感染リスクを大幅に低下させられます。
消毒といえばアルコール、という認識は根強いですが、アルコールの他に、次亜塩素酸精製水もコロナウイルスへの有効性が確認されています。
ただし、空気清浄器のような機器やスプレーボトル(霧吹き)での空間噴霧に関しては健康被害などの懸念があるため意見が割れており、現状は行うべきではないとの風潮があります。
次亜塩素酸精製水は主に拭き掃除で活用するものとご認識ください。
消毒・殺菌に関する詳細な情報は下記からご確認ください。
参考記事:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
参考記事:「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)(経済産業省、消費者庁、厚生労働省)
受付の際の検温やマスクの着用
レンタルスペースは、ホストとゲストが対面するタイミングが利用開始時と退却時のみとなります(自動受付を導入しており、対面することが無い場合もございます)。
ですので、特に利用開始時にホスト側でお客様の検温を実施することで密閉されたスペースでの感染率を大きく引き下げてくれることでしょう。
新型コロナウイルス(COVID-19)の症状として発熱があることは周知の事実です。
2020年5月7日までは厚生労働省が公表したコロナ感染の定義として「37.5度以上の発熱が4日以上」がありましたが、2020年5月8日からは発熱の度数や日数に関する具体的な定義は削除されました(参考記事:「37.5度以上」削除 PCR相談目安改定 幅広い受診促す(日本経済新聞))。
しかし、37.5度以上の発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症感染の疑いを懸念し入場を断るなどの行動制限の方針を打ち出している事業者、自治体も多いため、検温の有効性は依然高いままといえます。
(東京都福祉保健局より「新型コロナウイルス感染症について」)
店舗による検温では主に額や手首から体温を測定可能で、なおかつ機器が直接皮膚に触れない「非接触式体温計」が使用されています。
また検温以外ですと、マスクの着用や場合によっては手袋の着用も考えられます。
ホストとゲストの直接的な接触を避け、まずはホストがゲストにコロナウイルスをうつしてしまわないよう、ホスト側の従業員も体調管理をしっかり行い、そのうえでマスクや手袋で万全を期すことを推奨します。
他のレンタルスペースが啓蒙しているコロナ対策も参考にしつつ、より感染予防効果の高い施策を取り入れていきましょう。
コロナ禍後に生き残るレンタルスペース、3つの条件
コロナ禍~コロナ禍後にかけて、レンタルスペース・貸し会議室の運営者が意識的に行うべき対策を3つの条件としてまとめました。
「3密」を避ける
「3密」とは「密接」「密閉」「密集」のことを指します。
レンタルスペースでは利用者の距離が必然的に近くなり(密接)、基本的に会議室など建物内の一部を貸し出します(密閉)。また、ビルの一棟貸しなどは借り手の判断で使用面積の区分けを自由に決められるのに対し、 レンタルスペースの場合はマンションの一室・一角や店舗など比較的限られたスペースで運営していることがほとんどです(密集)。
以上のことから、レンタルスペースはコロナ禍では避けるよう言われている「3密」の定義に合致しているといえるでしょう。
では、レンタルスペースが「3密」を避けて運営するには、具体的にどのような方法があるでしょうか。
下記に列挙してみます。
「密接」を避ける方法
・受付ではマスク・フェイスシールド・手袋を着用
・現金やクレジットカードではなく、電子マネーの利用を促す
・コイントレーを介した金銭の受け渡しを行う
これらの施策は、コロナウイルスが「接触」「飛沫」によって感染することが判明していることから推奨されています。直接何かに触れたり、唾液から感染することを未然に防ぐ意識を持つことが大切です。
「密閉」を避ける方法
・レンタルスペースを定期的に換気する。または可能であれば窓を開けたままにしておく
・利用者が外気に触れられるよう、建物外への経路を知らせる
室内の空気を入れ替えないまま循環させていると、万が一コロナウイルスが紛れ込んだ際に逃げ場が無くなってしまい、感染リスクが上昇します。
貸し会議室や貸しパーティー会場などは特に人と人との会話や交流が多くなりがちなため注意が必要です。
利用者が入れ替わるタイミングで換気し、ホスト側でゲストに換気の重要性を啓蒙(啓蒙)しましょう。
「密集」を避ける方法
・顧客の間に距離が空けられるよう、余裕のある家具の配置や自由に動ける導線を検討する
・レンタルスペースの清掃時間を十分に確保するために、予約と予約の間の時間を多めにとる
・場合によっては利用可能人数の制限を行う
・営業時間を短くする
「密集」に関しては、レンタルスペースの規模やそこに集まる人の数で大きく深刻度が変化します。狭ければ狭いほど、また人が多ければ多いほど感染リスクが上昇するため、対策を講じる必要性が高まります。
厚生労働省が発表した
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例
によると、
人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
とあります。
例えば会議室内で2mの距離を空けることは、なかなかに難しいものです。しかし2mが難しくてもその半分の1mでしたら実現可能性がぐっと高まります。
可能な限り「人と人の距離(ソーシャルディスタンス)をとる」ことを心掛け、「密集」による感染を予防しましょう。
衛生管理を徹底する
レンタルスペースでは、スペースを利用する方の使い方次第では、思いもよらぬ場所を触れる可能性があります。
具体的に気を付けたい点は、
・利用者は施術前に消毒する
・ドアノブや家具・備品のアルコール消毒を徹底する
・ドアノブや家具・備品は洗浄・消毒・殺菌の3ステップで清潔に保つ
・清掃を定期的に行う
・従業員の健康管理をしっかりと行う
などです。
多くのレンタルスペースではコロナウイルスが流行する以前から利用者が入れ替わるタイミングでの除菌・清掃などの衛生管理を行っています。
しかし人々の衛生意識が高まっている昨今、普段よりもさらに高い衛生意識を持ち、それをアピールすることで、顧客により安心感を与えられます。
コロナ対策への取り組みを周知する
ここまでお話ししました内容は、コロナウイルスの感染を予防するための対策をまとめたものでした。一方、本項では前述の2項とは少し毛色が異なり、「レンタルスペース」の運営にあたってプラスになる施策についてご紹介いたします。
「3密」への配慮も、衛生管理の徹底も、ホストがそれをしっかりと行っているかどうか、顧客からはあまり見えません。ですので、顧客へのアピール活動の一環としても、「どのようなコロナ対策を行っているか」をわかりやすい形で提示すると効果的です。
例えば、
・感染予防への取り組みをステッカーやPOPにしてレンタルスペースの目立つ場所に設置する
・各自治体が発行している「コロナ対策認可」ステッカーをレンタルスペースの目立つ場所に設置する
・ホームページや予約サイトに、コロナ対策や衛生管理に関する取り組み内容を記載する
などがあります。
ホームページや予約サイトにおけるコロナ対策アピールは忘れがちですが、インターネット上で不特定多数に閲覧される為、アピール効果は抜群です。
RESERVA予約システムでできる周知方法
例えばRESERVA(レゼルバ)予約システムでは、
- 感染予防対策実施の文言をサイト情報に記載
(管理画面>基本設定>ビジネス情報登録>サイト情報)
- サイト情報の写真を感染予防対策している画像に変更
(管理画面>基本設定>その他詳細設定)
- 予約時のアンケートにコロナウイルスに関するチェック項目を設ける
(管理画面>高度な設定>顧客項目設定・予約時アンケート設定>予約時アンケート設定ボタン>質問を作成する)
- コロナウイルス関連の情報をメールにして自動配信
(管理画面>顧客サポート>お知らせ作成>お知らせ作成ボタン)
このような予約サイトの訪問者に向けた感染予防対策アピールが簡単な設定で行えます。
お客様がネットから予約する際に、必ず利用する予約サイト。
レンタルスペース利用者の目に触れる機会の多い予約サイトだからこそ、コロナ対策への取り組みをお客様にお知らせできるのです。
まとめ|関連記事
コロナ禍が終息した後、レンタルスペース・貸し会議室の運営を軌道に乗せるために必要な「3つの条件」についてご紹介いたしました。
感染予防対策をしっかりと行った後には、必ずホームページや予約サイト上での顧客アピールを行いましょう。そうすることで、お客様に安心してご利用いただけるだけでなく、コロナ後の継続顧客の獲得にもつながります。
以上の点をレンタルスペース運営にお役立ていただければ幸いです。
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【免責事項】
当記事に掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、RESERVAブログは閲覧者が当記事の情報を用いて行う一切の行為について、何らの責任を負うものではありません。新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として、政府発表をご参照ください。
また、当記事に掲載されている内容は、2021年4月時点のものです。今後、政府発表の新型コロナウイルス感染症情報が変更される可能性があります。