本記事では「完全予約制」と、完全予約制に必須なツール「予約システム」について解説します。
昨今、クリニックや美容室などで完全予約制が好まれ、取り入れられています。自身の店舗で導入を検討している担当者も多いのではないでしょうか。完全予約制の導入で得られるメリットやデメリット、また予約制や優先予約制、順番予約制との違いについても理解を深め、最後に完全予約制を実現するために不可欠な予約システムの利用について確認していきましょう。
完全予約制とは?
「完全予約制」とは、特定のサービスや場所を利用する際に事前の予約が必須となる仕組みを指します。利用者は予約なしで店舗を訪ねても、サービスを受けることができません。
完全予約制はエステサロン、美容院、レストランなどサービス業をはじめ、クリニックやカウンセリングでも取り入れられています。このような対人接客が必要な業種で予約制度が無い場合、顧客の待ち時間が発生し、店舗側のサービス提供にも支障をきたす可能性があります。1人で個人サロンを経営している場合は、その傾向がより強くなります。そのため、完全予約制を導入することで、効率的な予約管理、サービスの充実を図る店舗が増加しています。
完全予約制のメリット
完全予約制のメリットについて3点紹介します。
顧客の待ち時間の解消
完全予約制における最も大きな効果は、顧客の待ち時間が解消されることです。完全予約制を導入していない場合、顧客は来店後に長時間待たなければならない場合があります。このような状況が続くと、結果的に店舗の印象が下がり、顧客離れにつながります。新規顧客を定着させることもできません。
完全予約制を導入することで、利用者は都合のいい時間帯に確実にサービスを受けることができるため、顧客満足度が高まります。結果として、リピーターの獲得やひいては売上の増加など、店舗側にとっても良い効果が期待できます。
充実したサービスの提供
完全予約制は充実したサービスの提供にも好影響です。スタッフは予約時間や予約者を事前に把握できるため、相応の準備を行えます。加えて予約メニューなどの情報も事前に受け取っていれば、余裕のある対応につながります。利用者側も、自身のサービス利用時間を他の顧客に妨げられず、よりリラックスした時間を過ごせます。
また、特別なメニューの提供ができるのも完全予約制ならではです。時間も手もかかるようなメニューは、飛び込みの顧客を受け付けていると案内できません。例えば美容室の場合、通常のヘアメニューに加えて、ヘッドスパ、ファッションアドバイスなどの用意も検討できます。特別メニューの用意は店舗のブランディングにも効果を発揮し、集客も強化されるでしょう。
運営の効率化
完全予約制は、店舗運営にもよい効果を与えます。予約者のみにサービスを行うということは、当日の対応件数や予約内容を把握できるということです。当日の来客数や予約と予約の空き時間を考える必要がなくなり、機材の配置やスタッフのシフトが最適化され、適切なオペレーションにつながります。過剰人員や予備の物品といった余計なリソースを割かなくてよくなるため、コスト削減にも貢献するでしょう。また、予約された時間に集中してサービスを提供でき、出勤時間や退勤時間も事前に見通せるため、労働効率も向上します。
完全予約制のデメリット
前述の通り、完全予約制がもたらすメリットは大きいですが、一方でいくつかのデメリットもあります。
顧客獲得機会の損失
完全予約制を導入すると、飛び込みの新規顧客を獲得する機会が完全に失われます。Web、広告などの集客に力を入れている店舗であれば問題ありませんが、そうではない場合、偶然店舗を発見して興味を持ってくれた顧客を、効率よく予約に誘導するような仕組みを考えておかねばなりません。
また、「完全予約制」という言葉自体に閉鎖的な雰囲気を感じ、顧客の来店のハードルを上げてしまう可能性もあります。とはいえ、昨今は来店前の予約が当たり前になっている風潮があるので、この点はさほど気にする必要はないでしょう。
予約の柔軟性、利便性が制限
完全予約制にすることで、1日に接客できる顧客数は限られます。スタッフ数も最低限に抑える場合が多く、同時に多くの顧客を受け入れることが難しくなります。スケジュール枠もある程度決まってしまうため、例えばエステの施術中に途中で時間を延長するなどの柔軟な対応は難しくなります。
また完全予約制であるがゆえに、直前にキャンセルが出ると売上も減少します。キャンセルが続いてしまうと当然、損失が大きくなります。キャンセルポリシーやキャンセル料を明示し、予約前日にリマインドメールを配信するなど、無断キャンセル(ノーショー)によるトラブルは防止策は必須です。
完全予約制と予約制、予約優先制、順番予約制の違い
完全予約制に似た単語で予約制、予約優先制、順番予約制などの言葉があります。違いを確認しましょう。
まず予約制とは「前もって連絡し座席や来店時間などを確保しておく必要があるという決まりを意味する」制度のことです。
引用:weblio辞書「予約制とは? わかりやすく解説」
明確な定義があるわけではありませんが、予約制という大きなカテゴリがあり、その中に完全予約制や予約優先制、順番予約制などが含まれているイメージになります。それぞれの違いについては下記の表にまとめています。
特徴 | 適した業種 | |
完全予約制 | ・事前の予約が必須となる仕組み ・飛び込み客はサービスを受けられない ・顧客の待ち時間解消や充実したサービスにつながる ・柔軟な対応はできない | ・エステ、美容室など美容系 ・クリニックやカウンセリングなど医療系 ・キャンプ場などの場所の予約 ・体験型アクティビティなどイベント予約 ・レストランなどのサービス業 など |
予約優先制 | ・予約客と予約なしで直接来店する顧客の両方にサービス提供を行う ・受け入れ顧客数が増えるため利益につながりやすい ・予約済みの顧客を優先的に案内するため、飛び込み入店の場合は待ち時間が長くなることがある | ・美容室 ・サロン ・病院、クリニック ・コンサートや映画館の座席予約 など |
順番予約制 | ・来店順に受付番号を発券し、予約を管理する仕組み ・窓口に行かずにWeb上で予約が取れるケースもある ・順番がくるまでは別の場所で時間を潰せる ・時間が読みにくい | ・自治体 ・クリニック など |
どの予約制を選択するかは、自身のビジネス形態とも照らし合わせながら決定する必要があります。
完全予約制が多い業種
完全予約制はどのような業種で利用されているのでしょうか。
以下のグラフは、RESERVAで作成された予約サイトのうち、「完全予約制」と明確に記載があったサイトを業種別に集計しています。
上記は参考程度の結果となりますが、「相談・接客(16%)」、「整体、治療院、はり(10%)」、「トレーニング(10%)」など、多様な業種で完全予約制が導入されていることがわかります。その中でも「美容、エステ、リラクゼーション」は36%と大きな割合を占めています。美容系の業種は単なる施術だけではなく、特別感やリラックスできる環境の創出など、顧客満足度を高めることに焦点が置かれる傾向があります。そのためには時間と人員の確保が必要になるため、完全予約制との親和性が高いと予想されます。
完全予約制を採用する理由
完全予約制を採用する理由は業種、ビジネス形態によりさまざまですが、業種ごとにある程度の傾向はあります。
例えば、クリニックやカウンセリングでは、顧客一人ひとりに適切な対応をするため、完全予約制を採用する場合があります。これらの業種では顧客のパーソナルな話を扱うことが多く、顧客も不安を抱えて訪問しています。そのような状況で飛び込みの問診対応があり、目の前の顧客対応がおろそかになってしまうと、不信感につながります。患者・顧客が離れるだけでなく、最悪の場合はトラブルに発展します。
他にも、エステやリラクゼーションなどの美容系業種の場合、特別な時間の創出を目的として完全予約制を採用することがあります。これらの業種では、顧客はただ施術を受けるだけではなく、日常からの解放やリラックス効果を求めている場合が多いです。完全予約制にすることで他の顧客がいない状況を創出し、顧客一人ひとりに合ったサービスが提供可能になります。特別メニューの案内もできます。結果、顧客満足度の向上や他店との差別化につながります。完全予約制はマーケティング戦略としても使うことができます。
待ち時間や混雑の解消を目的に、完全予約制を採用する店舗もあります。顧客満足度の向上だけでなく、1日の応対件数が把握できることによる店舗運営の効率化、さらにインフルエンザ等の季節性の感染症拡大のリスクを減らすことにも貢献します。
今あげた内容は一例ですが、完全予約制を採用する店舗には「顧客に向き合って漏れなくサービスを提供する」という点が共通していると考えられます。
予約システムの導入のポイント
完全予約制を実現するためには予約システムが不可欠です。予約管理業務をITの力で効率化させ、スムーズな店舗運営をサポートします。ここからは予約システムを導入する際に押さえるポイントを紹介していきます。
1. 予約業務に必要な基本機能を網羅しているか
第一に、予約に必要な機能が網羅できているかは確認必須です。特に最低限必要な機能は以下の通りです。
- 予約の自動受付/管理
- 予約データ管理
- 予約キャンセル・変更
- 自動メール通知
これ以外にも、月額プラン表示機能やカレンダー機能など、それぞれの業態に応じた機能が用意されているかは確認しておきましょう。
2. 導入の手軽さ
便利な機能が豊富な予約システムはたくさんありますが、導入方法が複雑で操作性が悪いと、かえって業務効率が悪くなります。SaaSで提供されているクラウド型の予約システムなら、該当のWebサイトを訪れ会員登録を行うだけで、かんたんに予約システムの導入が完了します。初期費用が無料で、無料おためしプランが用意されており、動画マニュアル等も充実した予約システムだとさらに安心です。
3. 予約データの分析、活用機能の有無
予約システム導入の際には、予約に関するデータの蓄積と活用ができるものを選ぶことも大切なポイントです。顧客情報、および予約情報をペーパーレスで管理し、クラウドサーバーに蓄積できるのは、予約システムを利用するからこそ享受できるメリットです。
ただ貯めこむだけではなく、蓄積データを計測・分析し、店舗の戦略等に活用することも可能になります。利用者の年代ごとに人気のメニューを分析したり、月ごとの需要を分析することで、新サービスの考案に役立てられます。広告配信を検討している場合、顧客情報と予約内容はターゲット選定の貴重な参考情報となります。さらに、顧客の予約履歴を元に、前回の予約から空いている顧客を洗い出し、クーポンを搭載したメルマガを送信するなど、予約システムに搭載されている機能をフル活用し、マーケティング活動を充実させられます。
予約システムによっては、初めからデータ分析機能が備わっているものもあります。そのようなサービスを選択すると、データをダウンロードしてExcelで集計するなどの手間もなくなるため、より強い業務の助けとなります。
4. セキュリティへの取り組み
予約システムにおいて、セキュリティ対策が厳格になされているかは重要です。なぜなら予約システムは、顧客がオンラインで入力した個人情報や決済情報といった機密情報を取り扱うためです。予約者やサービス提供者が安心してオンライン予約をするためにも、情報漏洩や不正アクセスは徹底して排除し、適切なセキュリティ対策を行っている予約システムの導入は不可欠です。予約システムの提供元のホームページを確認し、提供元のセキュリティに対する対応、従業員への取り組みがなされているか、さらにISOなどの第三者認証を取得しているかどうかも事前に調べておきましょう。
5. 導入後のサポート体制は充実しているか
予約システムを長く使い続けるためには、導入後のサポート体制についても把握する必要があります。初めてシステムを利用する担当者だと、導入はしたものの使いこなせず、結果的に業務負担が増えてしまうこともあります。問い合わせサポートやマニュアルが用意されているか、システム提供元を事前にチェックしておきましょう。サポートが充実している予約システムを利用すれば、導入後に発生した疑問や使用上の不明点をスムーズに解消でき、完全予約制の実現に近づきます。
予約システムで完全予約制を実現させるならRESERVA
現在、多数の企業が予約システムを提供しています。その中でも、完全予約制に適した予約システムとしてRESERVAを推奨します。
RESERVAの特徴
RESERVAは、累計30万社に利用され、500以上の政府機関・地方自治体も導入した実績がある国内No.1の予約システムです。予約受付をはじめ、RESERVAの機能は100種類を超えており、さまざまな事業の形態に対応しています。セキュリティ対策としては、ISO/IEC 27001やISO/IEC 27017を取得しており、SSLに対応しています。初期費用は無料で、操作性もシンプルなため、予約システムを初めて導入する事業者の人にもおすすめです。
RESERVAの主な機能
RESERVAには前述の通り100種類を超える豊富な機能があります。そのため、完全予約制に最適な機能について抜粋して紹介します。
基本機能
・予約の自動受付/管理
RESERVAで作成した予約サイトから、24時間365日、オンラインでの予約受付を実現します。万一都合が悪くなった場合の予約キャンセルや変更もWebで行えます。電話やメールで行っていた予約受付業務がなくなるため、店舗側の業務負担が削減でき、顧客の獲得機会損失も防止します。
・予約データ管理
RESERVAで受け付けた予約メニュー、顧客情報はクラウドのサーバーで一括管理されます。管理画面上からオンラインでいつでも情報を参照でき、紙の予約台帳は不要になります。顧客データ分析、予約データ分析機能も付帯しているため、収集したデータは経営戦略を立てるのにも活用できます。
・自動メール通知
RESERVAには各種メール通知機能が用意されています。顧客の予約受付完了時には予約通知メール、予約前日の午前8時にリマインドメールが自動的に配信されます。メールでのお知らせは、予約内容の誤認や無断キャンセル(ノーショー)を防ぐ効果があります。完全予約制の大敵である直前キャンセルの防止に役立ちます。
・事前決済
オンラインカード決済機能を使えば、予約者は事前に支払いを完了できるため、予約当日はサービスを受けるのみとなります。サービス提供側もお会計が不要になるため、業務の負担が軽減されます。オンラインカード決済による売上情報は、予約管理画面に自動的に取り込まれるため、日々の売上分析・検証を効率的に行うことが可能です。
セキュリティ強化
その他
・LINE連携機能
・Googleカレンダーとの双方向連携
・スマートロック連携
・抽選機能
・予約受付用QRコード発行
まとめ
本記事では完全予約制について解説しました。
完全予約制の採用は、店舗運営の効率化、顧客の満足度向上に大きく寄与します。完全予約制を楽に運用していくには優秀な予約システムの導入が欠かせません。予約管理を効率化させるために自社に合った予約システムを選択し、ビジネスの発展を実現しましょう。