お店のSNSアカウント開設、運営方法についてこれまで解説をしてきましたが、ある程度SNSの利用が進むと、以下いずれかの悩みを抱えるはずです。
これは、皆さまに限ったことではなく、だれにでも起こりうることですので、そこまで深く悩む必要はありません。(「SNS疲れ」と言われます。)
お店のSNSを運営していくうえで大切なことは、楽しみながら、小さな成功体験を積み重ねていくことです。
誰しもが、はじめから順調にフォロワーを増やし、お店の集客UPにつなげられたわけではなく、コツコツをやるべきことを実行し、内省し、改善を繰り返し努力をされています。
はじめから知名度があるフランチャイズ店などであれば、一定数のファン(フォロワー、SNS上の「友だち」)を増やすことは容易ですが、個人店などにおいては、ハードルが高いこともあります。
最近話題のYouTuber(ユーチューバー)も有名人が始めると、チャンネル登録者がすぐに万単位で増えることもあれば、10人未満のチャンネル登録者からコツコツと配信し、のし上がった一般人のYouTuberもいます。
長い目で見て、マラソンのように自分のペースでSNS運用することが成功のカギです。この記事では、お店のSNSアカウントを運営するうえで、見直すべき点をまとめて解説します。
目標設定をする
SNSアカウントを始めた人にありがちなのは、「継続して続ければ、自然と人気アカウントになるだろう」と過信し過ぎるところにあります。かつて、Twitter、Facebook、Instagramなど数々のSNSアカウントを運営してきた筆者から言えることは、それは宝くじに当たるくらい低い確率であると主張します。
この瞬間も増え続けるSNSアカウントの中で、着々と実績を積み上げるのは、容易なことではありません。小さなことから目標を立てましょう。
【SNSアカウントの目標例】
・まずは周辺地域の他店舗、公的機関のアカウントを探し100件フォローする。
→他店のSNSアカウントを見つけたらフォロー、必要に応じてメッセージを送り挨拶回りをします。
・3ヵ月以内に、お店のSNSアカウントのフォロワー100人を目指す
→そのために、お店でお客様にSNSアカウントフォローを促す看板を掲載する。
・お店のSNSアカウントへの問い合わせ(予約)件数を年内に10件/月にする
→そのために、SNSアカウントでサービス情報や写真を毎日更新して、興味関心を集める。
・ 普段厨房にいて、なかなかお客様と話ができないので人柄を知ってもらいコミュニケーションのきっかけにしたい。
→SNSでお店のこと以外のプライベートな写真(趣味、特技、家族の成長、愛犬)を投稿。
マーケティング理論から行動を捉える
マーケティングの考え方のひとつに、 AISAS(アイサス)というものがあります。これは、
- A…認知・注意(Attention)
- I…興味・関心(Interest)
- S…検索(Search)
- A…行動(Action)
- S…共有(Share)
の頭文字を取ったもので、消費者の行動を表したものです。
これに基づけば、SNSによるマーケティングはシンプルで、
- A…認知・注意(Attention)・・・SNSに投稿をする
- I…興味・関心(Interest)・・・リアクションをもらう(いいね&シェア)
- S…検索(Search)・・・・・お店の詳細情報を見てもらう
- A…行動(Action)・・・・・お店に実際に来店してもらう
- S…共有(Share)・・・・・・レビュー、評価する点をシェアしてもらう
この5つの行動のために、要所で何をすべきなのかを考えることが重要です。せっかく、SNSで反響がある投稿があったとしても、そこから先「このお店はどこにあるんだろう」「どんなサービスがあるんだろう」という消費者の関心の火を消さぬよう、見やすく、分かりやすいPRすることが大切です。
このほかに消費者行動については、 AISAS(アイサス)の原型であるAIDMA(アイドマ)、SNS時代の新定義SIPS(シップス)という考え方もありますので、詳しく知りたい方はご自身でお調べください。
予約サイト(RESERVA)への導線を見直す
マーケティング理論を理解したあとは、 行動(Action) 、つまり「来店・購入」してもらうための導線をはっきりしておくことが必要です。
興味・関心(Interest) を得た人が、SNS上で、いかにしてスムーズに、予約サイトにたどり着くのか見直してみましょう。
・予約サイトのURLがきちんとアクセスできるか(意外と見落としがち)
・予約サイトへ遷移するアンカーテキストは目立ちやすいか
・アンカーテキストの色と背景色と被っていないか
アンカーテキストとは・・・
他のWebページへのリンクに表示する文章のこと。(青字にしたり、下線を引いたりされるテキストのこと)
例: 詳細はこちら
インスタ映えする写真を撮影する
「お見合い」でキレイな写真を撮影するように、お店の良さが最大限に伝わる「ベストな写真」を1枚、2枚持っていることは大切です。従業員同士で意見を出しあって、工夫した写真を撮影します。
最近のスマートフォンでは、加工機能やフォーカス機能があるため、プロのカメラマンが撮影したような写真を撮ることができます。また、デザインや見た目が命のサービス(ネイル、家具屋、飲食店等)では、いかにしてキレイな写真を撮影できるか、という点はSNS運営の肝となります。
写真の撮り方については、お持ちのスマートフォンのカメラ機能を研究したり、YouTubeなどで解説がありますので、参考にしてみましょう。
個人使用をして機能を理解する
「お店のアカウント」となると、かしこまってしまい、投稿することがおっくうになるかもしれません。SNSの利用方法を理解するためには、別に個人のプライベートアカウントを作ってみることをおススメします。
プライベートアカウントを利用することで機能を深く理解できたり、消費者目線で他店のSNSを閲覧することで、自らのお店のSNSアカウント運用のヒントが得られるかもしれません。
また、個人アカウントで反響があるような写真(愛犬、子どもの成長記録など)は、プライベートなこともお店のSNSアカウントでつぶやいてみると、人柄が伝わり、お客様にとって親近感を持たせる効果が生まれることもあります。
フォローバックを狙う
芸能人であったり、よほどのカリスマ性が無い限り、初期のSNSアカウントでフォロワーは自然的かつ継続的に増えたりすることはありません。お店のアカウントを使って、自ら他アカウントにフォロー(これも立派な「営業」と言えます。)することで、相手アカウントからフォローバック(フォローし返してもらうこと)されることを狙います。
自アカウントのフォロワーを増やす ≒ 自ら他アカウントをたくさんフォローする
自ら他アカウントにコメント、シェア(リツイート)を積極的に行い、お店のアカウントに来たコメントへは必ず返信する。
これがSNSのフォロワーが増えていくために必要な術のひとつです。
SNSの広告プランを作ってみる
これまで紹介しているSNS、Twitter、Facebook、Instagramにはそれぞれ広告プランというものが存在します。いずれもアカウントを持っていれば、かんたんに広告出稿でき、広告費用も自在に設定できます。
「何がバズるかわからない」を楽しむ余裕
大概、渾身の投稿をしたSNSでは、期待するほどリアクションがありません。これは世のニーズと、皆さまが想像したニーズに少しだけ乖離があっただけで、ここで諦める必要はありません。
無名なアーティストも、小さな街角の個人店も、ひとりのインフルエンサー(芸能人含む)の「いいね」「コメント」「リツイート」「シェア」によって、爆発的な人気を呼び込んだ例も世界中で起きています。
SNS投稿は、いつどこで、だれが広めてくれるかわからない魅力的な世界です。しかし、過度な期待はしすぎず、小さな目標をこなしながら楽しむべきメディアです。
「バズる」ことを意識するあまり、過激なテキストになったり、法に触れるような投稿をすることは控えてください。
二兎を追う者は一兎をも得ず
SNSアカウントで陥りやすいのは、大きな目標を、複数SNSで同時並行で実現しようと張り切り過ぎてしまうことです。もちろん時間が許されるのであれば、複数アカウントを同時に運営するのは良いですが、もし息詰まるようなことがあれば、1つずつのSNSアカウントに集中してみてください。
どのアカウントから強化すれば良いか悩んだらこちらの記事に記載している、各SNSの特徴とお店の特性をふまえながら選定してみてください。