2022年下半期の景気予想と事業戦略の立て方|日銀「さくらレポート」を徹底分析

2022年下半期の景気予想と事業戦略の立て方|日銀「さくらレポート」を徹底分析

更新

2021年12月から2022年にかけて、新型コロナウイルスのワクチン接種の3回目がスタートし、まん延防止等重点措置は2022年3月21日で解除されました(内閣府「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置の終了に関する公示」より)。国内の新規感染者数は高止まりの傾向にあり、引き続き感染対策は欠かせない状況ですが、飲食業や観光、イベント関係の制限は少しずつ緩和されてきています。

2022年は「制限なし」の大型連休(ゴールデンウィーク)も控えており、国内外旅行や帰省、イベント参加のための新幹線や飛行機の予約も増え、渋滞予測もされています。このように、2022年は新たな旅行スタイルが模索されるなど、社会情勢に配慮しながら新たな事業運営が求められており、ポストコロナ時代への移行が始まりつつあります。

日本経済に目を向けると、2022年3月上旬から4月にかけて急速な円安が進み、3月29日から31日までの3日間、日本銀行は金利の上昇を抑えるため、低利回りで国債を無制限で買い入れる「連続指し値オペ(公開市場操作)」と呼ばれる金融措置をとりました(情報参照元:日本銀行「連続指値オペの実施について」2022年3月28日)。さらに4月27日から28日にかけても同様の措置に踏み切るとされています(情報参照元:日本銀行「連続指値オペの実施について」2022年4月26日)。

また、3月16日に宮城、福島両県で震度6強を観測した東北地方の地震の影響で東北新幹線が脱線し、復旧には約1カ月を要しました(情報参照元:河北新報2022年3月26日記事)。地震後は電柱や高架橋などの損傷が見つかるなど、安全確保や自然災害対策への意識も高まっているといえます。

RESERVA Digitalでは、日本銀行が発表しているさくらレポートをわかりやすくまとめています。
前回の記事はこちら

今回は日本銀行(以下:日銀)が2022年4月11日に公表した「地域経済報告書(さくらレポート)」を分析し、2022年下半期の景気予想と事業戦略についていちから徹底解説します。(情報参照元:日本銀行ホームページ「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」

「さくらレポート」とは

「さくらレポート」とは、日銀が年4回(4月、7月、10月、1月)公表する地域経済報告書のことです。アメリカの連邦準備制度理事会が公表する「地区連邦銀行経済報告」が、表紙の色から「ベージュブック」と呼ばれているのを参考にして、日本では「さくらレポート」という呼称がつけられました。2005年から掲示されている「さくらレポート」では、日銀の地方支店からの報告をもとに、全国9地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)の経済状況や景気判断について集約されています。

さくらレポートの内容と構成
①各地域の景気判断の概要:地域別の景気判断を総括、前回からの変化を矢印で図示
②地域別金融経済概況:地域ごとの詳しい経済状況について分析、企業の声を掲示
③参考計表:景気判断の参考となる統計データを掲載

さくらレポートを通して、地域間の経済格差や日本全体の景気状況について理解を深めることができます。

地域の景気が一覧でわかる「各地域の景気判断の概要」

さくらレポートでは、全国9地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)における景気の総括判断についてまとめられています。3カ月前の調査との変化が矢印で図示されており、地域ごとの大まかな景気状況が把握できます。

前回の景気判断と比べると、新型コロナウイルス感染症の再拡大のほか、一部の供給制約の影響から、全9地域のうち、中国地方では改善・悪化の度合いに変化なし、その他8地域で引き下げと判断されました。全国的に依然として新型コロナウイルス感染症の影響や一部の供給制約の影響もあり、持ち直しの動きが鈍化しています。

ミクロ視点で詳しい動向を分析する「地域別金融経済概況」

次に、地域別金融経済概況では、地域ごとに「全体感」・「需要項目別動向」・「企業の主な声」についてまとめられており、企業に寄り添ったミクロな視点で、各地域の経済状況について把握することができます。3項目を照らし合わせることで、より具体的にどのような需要項目や業界が景気判断に影響しているのかについて考察を深めることができます。

北海道地域

北海道地域の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響から下押し圧力が強い状態にあり、全体として持ち直しの動きが一服しています。公共投資は、高水準ながら弱めの動きを維持し、設備投資や輸出は緩やかに持ち直しています。一方、住宅投資と生産は横ばい圏内の動きとなっており、個人消費は、サービス消費を中心に下押し圧力が強く、持ち直しの動きが一服している。また、観光業も引き続き厳しい状況にあることから、企業の業況感は悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」から抜粋)
・ホタテの輸出は、中国に加え欧米における外食需要の回復を背景に、引き続き高水準で推移している
・資材価格が高騰する中でも、ニセコ地区では感染症収束後を見据えた海外資本の投資意欲は強く、コンドミニアム関連工事を複数受注している
・紙需要は減少基調にあるが、脱プラ化の流れを受け、環境に優しい紙製品への切り替え需要がみられており、新製品の生産を進めている

東北地域

東北地域の景気は、持ち直しの動きが一服している状態です。設備投資は増加していますが、公共投資は減少し、個人消費は弱含んでいます。住宅投資は持ち直している一方、生産は持ち直しの動きに足踏みがみられます。消費者物価は前年を上回っているものの、企業の業況感は幾分悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」から抜粋)
・2022 年度は、震災復興関連予算が引き続き減少する一方、県を中心に国土強靱化関連予算が増加しているため、相応の工事量を見込んでいる
・原材料や燃料価格の高騰により、衣料品の仕入価格は上昇しているが、セールの抑制などで一定の利益を確保できていることから、顧客離れを避けるために値上げは行わない方針
・地元高校の卒業生の数に対して、高校新卒者の求人数が圧倒的に多く、人手の奪い合いとなっている。こうした中、グループ会社共通で首都圏並みの賃金水準を提示して求人募集をかけることにより人員を確保している

北陸地域

北陸地域の景気は持ち直しの動きが一服している状態です。公共投資は弱めの動きとなっているものの、設備投資、住宅投資は持ち直しの動きがみられています。個人消費、生産ともに持ち直しの動きが一服していることから、企業の業況感は悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」から抜粋)
・高規格幹線道路工事、国土強靱化関連工事などの大型案件が同時進行していることから、手持ち工事量は高水準となっている
・補助金を活用して、露天風呂付客室への改装やバリアフリー化、ワーケーションルームの新設などの客室改装を進めているほか、宴会場を個室タイプの食事処に改装することを計画している
・ワクチン接種のコールセンターや給付金の事務処理など、新型コロナウイルス感染症に関連した求人が大幅に増加している

関東甲信越地域

関東甲信越地域の景気は、感染症の影響などから弱い動きがみられるものの、基調としては持ち直している状態です。公共投資は弱い動きとなっている一方で、設備投資と住宅投資は持ち直しつつあります。また、輸出・生産は、一部に供給制約に伴う減産の動きがみられているものの、基調としては増加傾向にあります。一方で、個人消費は感染症が拡大した時期を中心に弱い動きがみられ、企業の業況感は幾分悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」から抜粋)
・スマホやIOTデバイス向けの受注が堅調に推移しており、ほぼフル操業での生産が継続している。輸出も中国の春節の影響等による振れはみられるものの、高水準で推移している
・2022年度は、感染症がある程度収束するという見通しのもと、観光需要の持ち直しを期待して、数年振りに大型観光バスの追加導入を決定した
・世界的なデジタル需要の拡大のもと、自動車・家電・産業機械等の電子部品向けの受注が非常に好調で、高水準の生産が続いている

東海地域

東海地域の景気は、持ち直しの動きが一服している状態です。公共投資は高水準で推移し、設備投資と住宅投資は横ばい圏内となっています。個人消費は、飲食・宿泊サービス等で下押し圧力の強い状態にあり、持ち直しの動きが一服しているものの、全体として企業の業況感は改善していると判断されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月) 」から抜粋)
・人件費の抑制のため、各店舗にセルフレジや配膳ロボットを導入するなど、機械で代替可能なサービスに順次切り替えている。こうした取り組みは、非接触や非対面が重視される感染症禍での行動様式とも親和性が高いとみている
・感染症が急拡大した今年1月以降、旅行予約のキャンセルが相次いでいるが、感染収束に期待して、出発日を4月以降に後ずらしする動きも一部にみられており、感染が落ち着きさえすれば、需要は回復する見込み
・原材料価格の高騰による利益圧迫から、賃上げに消極的な企業がみられる一方、製造業を中心に、業績が回復している企業では、派遣労働者への賃上げについて前向きに検討する先が相応に存在

近畿地域

近畿地域の景気は、全体として持ち直し基調にある状態です。公共投資は高水準で推移しており、設備投資は増加しています。輸出も増加基調にあり、個人消費も持ち直しの動きがみられます。一方、住宅投資は弱い動きとなっており、生産は基調としては緩やかな増加を続けているものの、企業の業況感は、製造業・非製造業ともに悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月)」から抜粋)
・南海トラフ地震やその他水災害に備えた対策工事に加え、高速道路関係工事などが続いており、公共工事は高水準で推移している
・まん延防止等重点措置が実施されるもとで客足は一時的に減少したものの、高額品や季節催事などを目当てとした目的を持った来店は衰えておらず、昨夏と比較して消費意欲は堅調
・持家は、住宅ローン減税特例措置の再開を様子見してか受注は弱い状態が続いているものの、新設された「こどもみらい住宅支援事業」の利用は相応にみられており、住宅購入意欲は大きく削がれていない

中国地域

中国地域の景気は、サービス消費を中心に下押し圧力が続いているものの、緩やかな持ち直し基調にある状態です。公共投資は高水準で推移し、設備投資は緩やかに持ち直しています。個人消費は持ち直しの動きはみられるものの、サービス消費を中心に下押し圧力が強い状態です。住宅投資と輸出は持ち直しつつあり、生産は持ち直している状態ですが、企業の業況感は小幅に悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月)」から抜粋)
・慢性的な人手不足が続く中、フルセルフレジの導入等の省人化投資を積極的に実施している
・まん延防止等重点措置が解除されて以降、地元客に持ち直しの動きもみられるものの、感染症再拡大への警戒感が続く中、依然として本格的な回復には至っていない
・コロナ禍で技能実習生の来日が実現しておらず、かつ最低賃金を上回る賃金でもパート・アルバイトの確保が難しいため、需要が高まっている冷凍食品の大幅な増産に踏み切ることができない

四国地域

四国地域の景気は、緩やかに持ち直しているものの、一部に新型コロナウイルス感染症等による下押しの影響がみられる状態です。公共投資は減少しているものの、設備投資は堅調に推移しています。個人消費はサービス消費を中心に弱含んでおり、住宅投資は横ばい圏内の動きとなっています。生産は基調としては持ち直しているものの、一部に供給制約の影響がみられることから、企業の業況感は悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月)」から抜粋)
・主要顧客である高齢層にもインターネットの利用機会が拡がっている状況を踏まえ、新たなECサイトの立ち上げを計画しており、2022年度のソフトウェア投資にかかる予算を大幅に増額した
・医薬品から食料品まで様々な商品をワンストップで比較的安価に購入できる強みもあり、特に感染症が再拡大した1月中旬以降、売上は好調に推移している
・入国制限の緩和を受けて、外国人技能実習生の受け入れにかかる手続きが進む中、4月から東南アジアからの技能実習生を20名程受け入れる目途が立ち、人手不足も解消される見込み

九州・沖縄地域

九州・沖縄地域の景気は、持ち直しのペースが鈍化している状態です。公共投資は高水準で推移しており、設備投資は全体として増加しています。一方、個人消費は持ち直しのペースが鈍化しており、輸出と生産ともに持ち直しの動きが一服している状況です。企業の業況感は製造業・非製造業ともに悪化していると推測されています。

企業の主な声「地域経済報告(さくらレポート、2022年4月)」から抜粋)
・豪雨関連の復旧工事が続く中、先行きはダム関連等の大型工事も予定されており、今後も繁忙度の高い状況が続く見込み
・居酒屋事業の低迷が続く中、内食需要を取り込むため、テイクアウト商品の生産工場および販売店舗の新設を計画
・先行きの観光需要の回復局面を見据え、業績が厳しい中でも人員削減は行わず、雇用調整助成金を活用しながら、雇用を維持している

「さくらレポート」を読み解くポイント

2022年4月11日公表のさくらレポートは、62ページにわたり経済状況に関する様々な資料を掲載しています。この報告書を通じて、日本全体の景気判断や地域間の経済格差を理解するために、地域別・需要項目別・企業別など多角的に分析されている資料から、「この情報が何を示しているのか」、「判断結果の背景にあるのは何か」を読み解くことが重要です。

①「各地域の景気の総括判断」をチェックし、地域間の景気格差を把握

「各地域の景気の総括判断」では、最新の景気判断に加えて、前回の報告期間の内容も記載されており、地域別の経済状況の変化を一覧で見ることができます。さくらレポートを読み解く際は、最初に「各地域の景気の総括判断」をチェックし、どこの地域の経済状況が上向き・下向きなのかを大まかに把握します。

②「地域別金融経済概況」を読み、各地域の需要項目別の景気動向を把握

「地域別金融経済概況」では、各需要項目が地域経済のなかで、どのように推移しているのかについて細かく分析されています。各地域の景気がどのようになっているのかを大まかに理解したうえで、どの需要項目が地域の景気判断にプラス・マイナスの影響を与えているのかを把握することができます。

③「企業等の主な声」や「参考統計」から、景気に影響している社会背景を分析

最後に、景気判断の指標となる細かい数値やリアルな企業の声に焦点を当てます。地域別金融経済概況の一部に記載されている「企業等の主な声」では、各支店が企業や地方公共団体などに対してヒアリングを実施し、得られた情報がまとめられています。日銀の豊富なネットワークを活かし、幅広い業種の経営状況や戦略について記載されており、経済活動に影響している社会背景について理解を深めることができます。「参考統計」では、百貨店・スーパー・コンビニエンスストア販売額、乗用車新車登録台数、公共工事請負金額、倒産件数など、景気判断に関係する具体的な指標が多く公表されています。特に見ておきたいのは、「地域別業況判断DI」「預金・貸出残高」で、企業の業況や国内の消費傾向を推測し、今後の事業戦略を立てるうえでの指標となります。さらに細かい項目についてては、支店別で公表されている「短期経済観測調査結果(短観)」で確認できます 。

【考察】2022年下半期の指針とポストコロナについて

2022年度4月に公開された「さくらレポート」から、ポストコロナに向けて持続可能な経営を目指す事業者の経営マインドや経営活動に影響している社会情勢が示唆されました。

2022年4月度さくらレポートでわかったこと
・公共投資の増加
大雨や地震など災害対策を中心に、引き続きインフラへの投資が高水準である地域が多い
・サービス消費への影響と期待
まん延防止等重点措置が解除されて以降、主にサービス業に関して地元客による消費改善の動きもみられ、観光需要の持ち直しを期待しているものの、感染症再拡大への警戒感は引き続き高まっているため、依然として本格的な回復には至っていない
・自動車の生産挽回と半導体の供給制限
半導体等の部品供給制限が依然としてみられるが、自動車需要は回復傾向にあり、制約の影響は緩和に向かっている
・原材料のコスト上昇による影響
原材料や燃料価格の高騰により一部製品の値上げが行われた
・世界情勢による貿易活動への影響
輸送方法やルートの変更により、輸出が遅延している
・インターネットの利用者拡大
事業のDX化が進み、高齢層にもインターネットの利用機会が広がっている
・環境に配慮した製品への注目
脱プラ化・脱炭素化の流れを受け、環境対応関連製品への切り替えがみられる
・レジの無人化、非接触・非対面サービスの増加
感染拡大防止の観点から、商品購入の際のレジの無人化やキャッシュレス決済、非接触・非対面サービスが注目されている

景気自体はやや悪化しているとの判断ではありますが、コロナ禍であってもサービスや事業が緩和され、ポストコロナに対応したサービスの展開が期待されます。今回は、注目のトピックを取り上げ、2022年下半期のポストコロナの特徴を推測していきます。

サービス消費の需要への期待

「さくらレポート」には、宿泊施設や合宿予約など、地元客を中心に客足の持ち直しの動きがあることが記載されており、各地方で観光業の需要回復の期待が高まっています。今後も感染症対策を継続することを考えると、密を避けながら提供されるサービスを楽しめる新たな事業プランが期待できるでしょう。

事業のDX化、店舗やレジの無人化

コロナ禍で進んだ事業のDX化は今後も継続すると考えられ、非接触・非対面で提供されるサービスは増えてくることが考えられます。特に金銭のやりとりが発生する店舗やレジにおいては、キャッシュレス決済や無人レジを導入することで、安心してサービス消費ができ、購買力の向上が見込めます。また、地方自治体や大学などさまざまな機関でもDX化は進んでおり、事務手続きのオンライン化は進んでいくと考えられます。

世界経済の動きを見据えた輸出入経路の策定

世界的に猛威を振るっているコロナウイルスや世界情勢によって、輸出入が遅延したり困難になったりする事態も出てきています。一方で、「さくらレポート」では、北海道や関東甲信越、近畿地域における輸出に関して持ち直しまたは増加の基調があると報告されているため、今後は輸出ルートの変更、取引国の調整、既存設備を刷新するといった対策をしながら貿易をしていくことが推測されます。

アメリカの経済報告書「ベージュブック」とは

「ベージュブック」とは、日本の報告書が「さくらレポート」と名付けられる元となったアメリカの地区連銀経済報告のことです。アメリカの12の連邦準備銀行(FRB)が、地区内の経済状況をまとめたもので、年に8回開催される連邦公開市場委員会の2週間前の水曜日に公表されます。主要輸出入国であるアメリカ国内の経済は、日本の製造業界や市場価格に大きな影響を与えるため、より視野を広げて世界経済を分析することも大切です。

FRBが2022年4月20日に発表したベージュブックによると、アメリカ経済は2月中旬から4月中旬にかけて「緩やかなペースで拡大した」との見解を示しています。新型コロナウイルスの発症数がアメリカ国内で減少したため、非金融サービス会社、製造業活動は全体的に堅調であった一方、労働市場の逼迫、投入コストの上昇が引き続き発生したと報告されています。

経営者がチェックすべき公表資料

今回は、「さくらレポート」について解説しましたが、他にも大手企業・中小企業の経営者向けに公表されている資料はあります。

日本銀行「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」

「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」は、年4回(通常1月、4月、7月、10月)に公表されており、実質GDP(国内総生産)やと消費者物価指数の見通しを示し、日銀の金融政策に対する考え方をまとめた報告書です。

URL:日本銀行ホームページ「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」

内閣府「景気ウォッチャー調査

「景気ウォッチャー調査」は、地域の景気に影響する家計や雇用の動きなどを観察できる人々の協力を得て、地域ごとの景気動向を的確・迅速に把握し、国内の景気判断の材料となる報告書です。調査は、民間の調査機関に委託して毎月実施しています。景気の良し悪しに関するアンケートの回答を得点化し、DI(Diffusion Index)を算出しており、速報性の高い報告書として様々な資料に活用されています。

URL:内閣府ホームページ「景気ウォッチャー調査」

中小企業庁「中小企業景況調査報告書」

「中小企業景況調査報告書」は、中小企業の景況を把握し、中小企業施策の企画・立案や企業経営に必要な情報を提供することを目的とした報告書です。年4回(3月、6月、9月、12月)公表され、製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業の5つの業種が調査対象となっています。

URL:中小企業庁ホームページ「中小企業景況調査報告書」

総務省統計局「個人企業経済調査」

「個人企業経済調査」は、全国の約4万の個人経営の事業所(個人企業)を対象に経営実態を調査している資料です。各種行政施策の基礎資料を得ることを目的として毎年6月1日に実施されています。

URL:総務省統計局ホームページ「個人企業経済調査」 

IMF「 World Economic Outlook 」

「World Economic Outlook(WEO、世界経済見通し)」はIMFが発表する世界経済に関する中期的な予測です。年2回(4月、10月)の通常発表と、状況に応じた改定・アップデートが行われ、主要国グループ(地域や開発のステージなどで分類)や各国の経済動向を、世界レベルで分析をおこなっています。

URL:国際通貨基金ホームページ「世界経済見通し」

OECD「 OECD Economic Outlook 」

「OECD Economic Outlook」はOECDが加盟34か国について個別に行う経済予測と、世界全体の中長期的な経済見通しがまとめられています。毎年6月ごろと11月ごろに発表されるほか、OECD日本政府代表部が作成した日本語の概要で、各経済圏の経済状況と予測を確認できます。

URL:OECD日本政府代表部「OECD経済見通し」

DX化を進められるRESERVA予約システム

2022年下半期の事業戦略において、DX化による業務効率化を進めていくうえで、すぐに導入できるのが予約システムです。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/は、26万の事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があります。

利用場面としては、セミナー開催、オンラインウェビナー、オンラインレッスンなどがあげられます。導入コストや管理費の高いシステムは難しいと考える企業では、誰でもかんたんに利用できるシステムから導入するのがおすすめです。

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まとめ

今回は、2022年4月11日に日銀が公表した「さくらレポート」についてかんたんに解説しました。「さくらレポート」のような公的機関の公表資料では、企業経営や事業戦略の立案にとって重要な指標や見解を多く掲載しています。2022年下半期はコロナの収束が進むことを見越して、事業の改善の動きが期待できます。また、ポストコロナ時代に向けて、持続可能なサービス提供のあり方を模索するなど様々な変化が起こり、世界情勢を見据えた新しい社会構造の構築が進むことが予想されます。共に様々なデータや資料を活用し、激化するであろう企業間競争に備えて、DX化を中心とする新たなビジネス戦略について考えてみてはいかがでしょうか。

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