コロナウィルス(COVID-19)の影響で、施設を構える多くの事業者が休館や事業縮小を余儀なくされるなど、苦境に立たされています。しかし、こんなときこそ将来を見据え今後のスポーツ会場運営を再び軌道に乗せるために、
「ウィズコロナ、コロナ禍後(アフターコロナ)の集客戦略を今のうちに立てておくこと」
このことが大切です。
このシリーズでは業種毎のコロナ禍の集客ノウハウについて紹介します。今回はウィズコロナにおいてスポーツ会場の運営を軌道に乗せるための3つの基本条件についてお話しします。
スポーツ会場の取組み
東京オリンピック・パラリンピックを目前として、全国の多くのスポーツ会場ではコロナウイルスに対して様々な取り組みを行っています。まずは、スポーツ会場が行っている代表的な新型コロナウイルス感染防止対策をご紹介いたします。
1.検温
多くのスポーツ会場では、入り口で検温を実施しています。事前アンケートではもちろん体調や発熱の有無をヒアリングしますが、当日の体温チェックはしっかり行いましょう。
また、観客やスポーツ選手だけでなくスポーツ会場のスタッフもこまめな検温は欠かせません。
2020年5月7日までは厚生労働省が公表したコロナ感染の定義として「37.5度以上の発熱が4日以上」がありましたが、2020年5月8日からは発熱の度数や日数に関する具体的な定義は削除されました(参考記事:「37.5度以上」削除 PCR相談目安改定 幅広い受診促す(日本経済新聞))。
しかし37.5度以上の発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症感染の疑いを懸念し行動制限する方針を打ち出している事業者、自治体も多いため、検温の有効性は依然高いままといえます。
(東京都福祉保健局より「新型コロナウイルス感染症について」)
同時に多くの方が入場するスポーツ会場では、AIや赤外線技術を駆使し、マスクを着用したままでも体温を測定できる装置を用い、簡単かつスピーディーに検温しています。
特に来年度開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでは、たくさんの国の人が会場を出入りするため、簡単かつスピーディーに検温を行うのは必須になるでしょう。
それ以外では、額や手首から体温を測定可能で、なおかつ機器が直接皮膚に触れない「非接触式体温計」が推奨されています。
2.除菌の徹底
コロナウイルス感染予防において、除菌は非常に有効な手段です。
スポーツ会場の用具や備品など、手指のアルコール除菌はもちろん、利用客やスポーツ選手、スポーツ会場のスタッフが共同で使用する場所など隅々まで除菌する必要があります。
アルコールの他に、次亜塩素酸精製水もコロナウイルスへの有効性が確認されています。
ただし、空気清浄器のような機器やスプレーボトル(霧吹き)での空間噴霧に関しては意見が割れており、現状は行うべきではないとの風潮が強いようです。
消毒・殺菌に関する詳細な情報を下記リンクにまとめました。
参考記事:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
参考記事:「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)(経済産業省、消費者庁、厚生労働省)
3.マスク/ゴーグル/手袋/フェイスシールド
除菌・殺菌を徹底したうえで、マスクやゴーグル、使い捨て手袋、フェイスシールドを着用するとより強力にコロナをブロックできます。
コロナウイルス(COVID-19)はのどや目の粘膜から感染するとされており、マスクの他にゴーグルも感染予防として有効です。
特に来年度開催予定の東京オリンピック・パラリンピックではスポーツ会場において、たくさんの観客が会話したり食事をしながらスポーツ観戦を楽しむため、前提として相手に感染させない、自分で感染予防する、といった最低限の心がけが必須になります。
スポーツ庁では、
スポーツ関係の新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインについて(令和2年11月18日更新)
このような新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインも発行しています。他会場の対策もあわせて参考にし、より良いウイルス対策を行っていきましょう。
東京ドームでは以下の案内動画を作成し、YouTubeで公開しています。
引用元:東京ドームシティ公式「新型コロナウイルス感染予防の取り組み」
コロナ禍に生き残るスポーツ会場の3つの条件
コロナ禍において、スポーツ会場の運営者が意識的に行うべき対策を3つの条件としてまとめました。
1.「3密」を避ける
「3密」とは「密接」「密閉」「密集」のことを指します。
スポーツ会場では観客同士の距離が必然的に近くなり(密接)、スポーツ会場の規模にもよりますが、会場内が密閉された空間の場合もあります(密閉)。また、一度に多くの観客がスポーツ観戦のために同じ場所に集まることもあります(密集)。
以上のことから、スポーツ会場はコロナ禍では避けるよう言われている「3密」の定義に合致しているといえるでしょう。
では、スポーツ会場が「3密」を避けて運営するには、具体的にどのような方法があるでしょうか。
下記に列挙してみます。
「密接」を避ける方法
・マスク・フェイスシールド・手袋の着用
・他の利用客同士の接触機会をなるべく避ける
・現金やクレジットカードではなく、電子マネーの利用を促す
・コイントレーを介した金銭の受け渡しを行う
最近ではSHARPが曇らないフェイスシールドを発売し、大きな話題を呼びました。(シャープ、曇らず写り込まないフェイスシールド。液晶パネル技術を応用)
これらの施策は、コロナウィルスが「接触」「飛沫」によって感染することが判明していることから推奨されています。直接何かに触れたり、唾液から感染することを未然に防ぐ意識を持つことが大切です。
特に来年度開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでは、国民全体で未然に防ぐという意識をすることが大切になります。
「密閉」を避ける方法
・スポーツ会場の受付や貸し出しを行う場所は定期的に換気する。
・可能であれば窓を開けたままにしておく。
・選手や会場スタッフが外気に触れられるよう、こまめな休憩を義務化する
スポーツ会場内の空気を入れ替えないまま循環させていると、もしコロナウィルスが紛れ込んだ時に逃げ場が無くなってしまい、感染リスクが上がる懸念があります。
空気の入れ替えを徹底しましょう。
「密集」を避ける方法
・十分なフィジカルディスタンスをとる
・予約が一杯になってしまわないように予約可能枠を少なくする
「密集」に関しては、スポーツ会場の大きさやそこに集まる人の数で大きく深刻度が変わります。狭ければ狭いほど、また人が多ければ多いほど対策を講じる必要性が高まります。
その中でもスポーツ会場の一つである競馬場は、観客同士の距離が近くなってしまう傾向があるので注意する必要があります。
厚生労働省が発表した
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例
によると、
人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
とあります。
スポーツ会場で2mの距離を常に空けることは、なかなかに難しいものです。しかし2mが難しくてもその半分の1mでしたら実現可能性がぐっと高まります。
可能な限り「人と人の距離(ソーシャルディスタンス)をとる」ことを心掛けていきたいものです。
2.衛生管理を徹底する
スポーツ会場では、観客が同じ椅子を順番に使用したり、観客同士が一緒になって応援したりすることが多く、感染リスクが上がる可能性があるため、非常にシビアになる必要があるでしょう。
具体的に気を付けたい点は、
・一度使用したグッズは返却後全て消毒する
・スポーツ会場のいくつもの箇所で消毒スプレーを設置しておく
・清掃を定期的に行う
・スポーツ会場スタッフの健康管理をしっかりと行う
などです。
ほとんどのスポーツ会場ではコロナ禍の影響を抜きにしても、普段から共同で使用するものや施設を清潔に保つため、衛生管理をしっかり行っていることと思います。
しかし人々の衛生意識が非常に高まっている昨今、お客様に安心感を与えるという意味でも、より一層の衛生意識を持つ必要があるでしょう。
3.新型コロナウイルス感染防止対策への取り組みを周知する
各自治体のコロナ対策宣言ステッカーに関する情報例はこちらです。
東京都防災ホームページ「感染防止徹底宣言ステッカー」
大阪府「感染防止宣言ステッカーについて」
福岡県「感染防止宣言ステッカー」の申請・検索について」
ここまでお話ししました内容は、コロナウィルスの感染を予防するための対策をまとめたものでした。一方、本項では前述の2項とは少し毛色が異なり、「スポーツ会場の運営にあたってプラスになる」施策についてご紹介いたします。
「3密」への配慮も、衛生管理の徹底も、スポーツ会場の運営者がそれをしっかりと行っているかどうか、観客やスポーツ選手からはあまり見えません。ですので、観客やスポーツ選手へのアピール活動の一環としても、「どのようなコロナ対策を行っているか」を明示することは必要なのです。
例えば、
・感染予防への取り組みをステッカーや看板にしてスポーツ会場に設置する
・各自治体が発行している「コロナ対策認可」ステッカーをスポーツ会場の目立つ場所に貼る
・ホームページや予約サイトに、コロナ対策や衛生管理に関する取り組み内容を記載する
などがあります。
ホームページや予約サイトにおけるコロナ対策アピールは忘れがちですが、インターネット上で不特定多数に閲覧される為、アピール効果は絶大です。
RESERVA予約システムでできる周知方法
例えばRESERVA(レゼルバ)予約システムでは、
- 感染予防対策実施の文言をサイト情報に記載
(管理画面>基本設定>ビジネス情報登録>サイト情報) - サイト情報の写真を感染予防対策している画像に変更
(管理画面>基本設定>その他詳細設定) - 予約時のアンケートにコロナウィルスに関するチェック項目を設ける
(管理画面>高度な設定>顧客項目設定・予約時アンケート設定>予約時アンケート設定ボタン>質問を作成する) - コロナウィルス関連の情報をメールにして自動配信
(管理画面>顧客サポート>お知らせ作成>お知らせ作成ボタン)
このような予約サイトの訪問者に向けた感染予防対策アピールが簡単な設定で行えます。
観客やスポーツ選手がネットから予約する際に、必ず利用する予約サイト。
観客やスポーツ選手の目に触れる機会の多い予約サイトだからこそ、コロナ対策への取り組みをお知らせできるのです。
コロナ禍・コロナ禍後に、スポーツ会場の運営を軌道に乗せるために必要な「3つの条件」についてご紹介いたしました。
来年度開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでは感染拡大を抑えるために、今回紹介した対策を行うのは必須になります。また、各種人気スポーツが行われる東京ドーム、甲子園球場、新国立競技場、埼玉スタジアム2002、武道館、幕張メッセ会場、札幌ドームなどにおいては独自の対策や方針が今後も配信されることが見込まれますので、こうした大規模スポーツ施設の感染対策にも注目していくことが大切です。
そして感染予防対策をしっかりと行った後には、必ずホームページや予約サイト上での顧客アピールを行いましょう。そうすることで、コロナ後の顧客離れを最小限に食い止めることができます。
以上の点をスポーツ会場の運営にお役立ていただければ幸いです。
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