新型コロナウイルス(COVID-19)の感染被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
当社が運営する予約システムRESERVAでは、2020年4月以降の予約システムご利用の状況を分析し、各業界のご利用動向を分析しております。今回は法人事業者様の動向について当社の稼働実績をもとにレポートいたします。
事業者の皆さまにとって、有益な情報提供となれば幸いです。はじめに今後の企業の将来を左右する重要ワードの整理をします。
DX(デジタルトランスフォーメーション)化
IT技術の進展および、企業活動のDX化(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、ビジネスシーンでITシステムを導入するケースが増えています。
DX化とは、何を指すでしょうか。きちんと答えられる方は多くないかもしれません。
経済産業省の定義によれば、DX化とは
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
と記されています。
気を付けるべきは、これまで聞きなじみのあった「IT化」とは切り離して考えるべきで、IT化とは、「業務効率化やコスト削減を目的にIT技術・デジタル技術を導入」することを指します。つまり、「DX化」とは「IT化」よりも、幅広い観点で、組織のカタチそのものを見直すために生まれた方針です。
これは総務省をはじめ政府主体で取組みが続けられる国家単位の施策であり、民間企業ならびに自治体へも広がりも見せております。
しかし、めまぐるしく変化する情報社会において、その企業の形態を変える動きは、ベンチャー企業や外資系企業の導入スピードが早い一方で、大手企業においては、動きに鈍りが出る傾向にあります。
ICTの導入状況
ICTとは、 Information & Communications Technologyの略で、「情報通信技術」のことを指します。総務省データによると、
日本企業でICT「導入済み」と回答した割合(導入率)は70.2%であり、他国と比べて10%~25%低い水準。特に、欧州企業の導入率は90%以上と高い水準。
参照元:総務部ホームページ「第1部特集:人口減少時代のICTによる持続的成長第2節 ICTによる生産性向上方策と効果」
との情報があり、日本の情報インフラの世界的な遅れは、10年後の大きな課題になりうることが予想されています。ハンコ文化の弊害や、企業の在宅勤務への抵抗が、近い将来に企業存続への影響をもたらすことは想像にたやすいと言えます。
こうした中で持続的な企業価値の向上を図っていくために必要な点は、
- ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと
- デジタルの力を、効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上や新規デジタルビジネスの創出に振り向けること
- ビジネスの持続性確保のため、ITシステムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと
- 必要な変革を行うため、IT部門、DX部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むこと
の4つの点であると、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」では記述されています。
予約システム活用の増加傾向
以前当社で論じたコロナ禍の各業界の動向、変化、においては、3密回避を喫緊の課題とする業界のシステム化について言及をしました。
ここでは中小規模、個人事業主を中心としたRESERVA予約システムの利用件数急増が傾向に現れています。
対して、大手企業(商業施設、施設運営会社、金融機関、医療機関)においても昨年多くの導入実績が多くみられるも、突然の営業形態の変換が間に合わず、予約システムを活用した新しい営業スタイルが全国で定着していないケースもあったようです。
>>コロナ禍で各業界の予約管理ニーズはどのように推移したか|RESERVAレポート(2020年調査)
具体例をあげると、全国に拠点を構える大手小売店において入場制限のための予約システム導入を試みるも、本部による多店舗管理の難しさや、高齢者が多い地方を中心にシステム導入への理解が不足している、などまだまだ旧式の顧客管理に頼らざるを得ない状況が続いています。
政府の動きと事業法人の展望
2021年現在、総務省の取組を注視するに、自治体におけるDX化の推進に相当の注力をしている傾向が伺え、国家全体で「官公庁におけるICTの遅れ」が危惧されていることが想定されます。そうなると、民間企業のDX化ならびにIT化については、今後より一層企業単独による決断、推進が必要となり、民間事業者のシステム導入は「待ったなし」の状況といえます。
IT後進国
「IT後進国」と揶揄される日本の課題を整理します。
日本は元来、優れた技術、生産能力、質の高さで世界的な評価を受けてきたにも関わらず、紙やハンコ文化、統一されないシステムの活用によって、国や自治体レベルで連携がなされなかった過去があります。
他国を覗けば、IT化やデジタル社会の創造は、国家政府レベルの主導によってイニシアティブが発揮されています。政府と民間の共同による官民一体政策によって、新興企業への支援を通じた競争的な市場環境の創出や、クリーンエネルギー等の国家的な優先課題への取り組みの支援を積極的に行ってきました。
日本の遅れの原因はここにあり、過去10年で見ても世界と肩を並べる新興企業が台頭せず、国家単位でのデジタル化推進は、国民の記憶にも乏しい状況です。
“GAFA”(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるアメリカのトップ企業が台頭してきたのも国家全体で、もしくはベンチャーキャピタル(投資)によって新興勢力を押し上げるトレンド、社会構造が功を奏しています。1989年、時価総額ランキングで世界をリードしてきた日本ですが、いまアメリカや中国の企業が多くを占め、30年で世界との差が生まれたことは有名な話です。
昨今中国では、GAFAに対抗し得る”BATH”がアジアのシリコンバレーと呼ばれる深センで急速な勢いで世界の時価総額ランキングに名を連ねています。
- B:バイドゥ(検索エンジン)
- A:アリババ(ECサイト)
- T:テンセント(SNSサービス「WeChat」&ゲーム事業)
- H:ファーウェイ(通信、スマートフォン)
こうした世界の企業の動向やトレンドを掴みながら、自社に落とし込んだかたちでDX化を目指していくことが、今後の事業会社にとって重要といえます。日本のデジタル庁創設によって、今後どのような施策が打ち出されるか、アンテナを張ることも大切です。
このような時代において、予約システムとは、このDX化における”小さな”歯車として機能し、しかし”大きな”事業支援を担うソリューションとして皆さまの事業経営を支援します。これまで個人事業主や中小企業を中心にご利用いただいたRESERVA予約システムは、大手企業、官公庁自治体の皆さまへ向け更なる機能拡充、わかりやすいマニュアル提供に努める考えです。
コロナ禍で見直される企業の働き方改革
DX化と切っても切れない縁があるのは、コロナ禍で企業の働き方改革です。在宅ワークに始まり、システムの多様化、セキュリティ対策、一拠点に集まり仕事をする時代は過去のものとなり、今後は働き方の多様化によって、企業も「働きやすさ」をより要求される立場にあります。
カルビー、サイボウズ、ヤフージャパン、ソフトバンク、日清、ZOZOTOWN・・などなど、働き方改革で注目される企業の取組を積極的に導入検討することが、今後の生き残りをかけた事業会社の運命の鍵をにぎることは確実です。