近年、予約システムの普及にともない、紙形式に加えデジタル形式による回数券予約を取り入れる事業者が増えています。回数券予約は、顧客のリピート率向上や売上の安定化などのメリットがある一方で、客単価の低下といったデメリットも存在します。また、回数券予約の具体的な利点がわからず導入を迷っていたり、その仕組みを知らなかったりする事業者も少なくないはずです。
そこで本記事では、回数券予約の概要や導入するメリット、デメリット、導入時の注意点からおすすめの予約システムまで、詳しく解説します。
回数券予約とは？
回数券予約とは、事前に紙のチケット形式である回数券を購入し、それを使ってサービスや商品の予約・利用を行うことです。近年では、予約システムによりデジタル化された回数券も広く活用されています。デジタル回数券は、紙の回数券に比べて発行や管理の手間が省け、コスト削減に効果的です。また、顧客側は紛失したり持ってくるのを忘れたりする心配がなくなるため、利便性向上につながります。
回数券予約を導入するメリット
リピート率の向上
集客において、新規顧客の取り込みだけでなく、リピーターを増やすことは重要です。そこで回数券を利用してもらうことにより、顧客は一定期間来店することが前提となり、自然とリピーターに誘導できます。また、回数券利用は前もって一括購入を済ませた後に開始となるため、顧客は「行かないと損」という気持ちになりやすく、運営側は顧客の途中離脱を防ぎながら効果的にリピート率を高めることが可能です。
売上の安定化
回数券を購入してもらうことにより、その都度まとまった金額の売上を得られます。また、再来店時には回数券以外のメニューをリクエストされることもあるため、その場合はさらに売上金を確保できます。これにより、キャッシュフローの安定化を実現可能です。加えて、継続的な収益が確保できることで、新規顧客獲得のための施策や新しいサービスなどに予算を割きやすくなり、経営の安定化や拡大につながります。
顧客満足度向上
多くの場合、回数券の料金設定は、通常メニューと比べコストパフォーマンスがよくなるように設定します。そのため、顧客にお得感を感じてもらいやすくなり、満足度向上につながります。その結果、店舗やサービスによりよい印象を持ってもらうことができるため、追加のメニュー注文や購入に結び付く可能性も高まります。また、継続的に接客を行うことで顧客に対する理解が深まり、それぞれの顧客により適したサービス提供が可能となるため、顧客体験の向上を実現できます。
回数券予約を導入するデメリット
客単価の低下
回数券は、顧客にとって1回あたりのサービスが割安になるため、都度払いに比べ客単価が低下する恐れがあります。特に、利益率の低下にともなう経営への悪影響を防ぐため、割引率を高く設定しすぎることには注意が必要です。したがって、割引率の設定は慎重に行い、利益の確保とリピートの促進を両立可能なバランスを見極めることが重要です。
管理における手間の増大
紙の回数券を活用する場合、印刷代や用紙代、外注などのコスト増加がデメリットのひとつです。また、紙の回数券の場合は紛失のリスクがあり、顧客が紛失した際の対応が難しいという問題があります。さらに、顧客ごとにおける回数券の残数把握や利用状況の集計、管理は煩雑になりがちで手間がかかり、人的ミスが起こる恐れもあります。そのため、事業者にはこれらのデメリットを防ぐことができる、デジタル回数券の導入が求められます。
返金不可によるリスク
基本的に回数券を設定する際は、返金不可な場合が多くなっています。しかし中には「引っ越しや病気などにより継続利用が困難になった」「サービスに不満が出てきた」といったさまざまな理由により、途中で通うのを辞めてしまう顧客もいます。その場合、事前に規約で返金不可と定めている場合などにおいては、それに従う必要があり、顧客の満足度低下や思わぬトラブルの発生といった恐れがあります。
回数券予約を導入する際の注意点
利用規約を明示する
回数券予約を導入する際は、契約・規約内容を顧客に明示し、確認してもらった上で同意を得ることが重要です。特に、有効期限や返金ポリシー、紛失時の対応などを事前に定め、契約書や利用規約に記載しておく必要があります。これにより、不要なトラブルを防ぎ、双方が安心できるサービスの提供を実現できます。
無理のない有効期限を設定する
一般的に回数券には有効期限を設けることが多く、顧客の「期限までに通わなければ」という思いを刺激することで、リピート率を高めることにつながります。しかし、利益を優先するあまりに有効期限を短く設定しすぎてしまうことにより、期間内に消化することができないと顧客に判断され、店舗に対する不信感や満足度低下につながりかねません。そのため、回数券に有効期限を設定する場合は、顧客の平均的な来店やサービス享受間隔より少し短くすることで、無理なく継続してもらうことが可能になります。
告知やフォローの必要性
回数券予約の導入後、まずはより多くの顧客に回数券予約のメリットや利便性を知ってもらい、利用を促すための告知を行うことが重要です。例えば、メールマガジンや店頭ポスターで回数券予約の告知を行うことは効果的です。また、回数券を購入した顧客に対し、有効期限が近づいているお知らせや次回サービスの案内通知を送ることにより、来店や利用を促し継続率を向上できます。このように、回数券予約を導入する際はただ販売するだけでなく、利用促進のための告知や顧客のリピート率を高められるようなアフターフォローが求められます。
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まとめ
本記事では、回数券予約の概要や導入時のメリット・デメリット、注意点について解説しました。
回数券予約の導入には、リピート率の向上や売上の安定化など多くのメリットがある一方で、客単価の低下や管理における手間の増大といったデメリットも存在します。回数券予約を導入する場合には、便利な部分だけに目を向けるのではなく、事業や顧客にとって不利益にならないよう、デジタル回数券を活用するといったように工夫を凝らすことが重要です。
また、回数券予約に適した予約システムを選択することで、収益の増加や顧客満足度向上が期待できます。
回数券予約の導入を検討している事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
