コロナウィルス(COVID-19)の影響で、施設を構える多くの事業者が休館や事業縮小を余儀なくされるなど、苦境に立たされています。しかし、こんなときこそ将来を見据え今後の博物館運営を再び軌道に乗せるために、
「ウィズコロナ、コロナ禍後(アフターコロナ)の集客戦略を今のうちに立てておくこと」
このことが大切です。
このシリーズでは業種毎のコロナ禍の集客ノウハウについて紹介します。今回はウィズコロナにおいて博物館の運営を軌道に乗せるための3つの基本条件についてお話しします。
博物館の取組み
全国の多くの博物館ではコロナウイルスに対して様々な取り組みを行っています。まずは、博物館が行っている代表的な新型コロナウイルス感染防止対策をご紹介いたします。
1.検温
全国の各博物館では入り口で検温を実施しており、平熱と比べて高い発熱が確認された場合は、入館をお断りしています。事前アンケートではもちろん体調や発熱の有無をヒアリングしますが、当日の体温チェックはしっかり行いましょう。
また、利用客だけでなく博物館のスタッフもこまめな検温は欠かせません。
目白駅にある切手博物館では、利用客に博物館への入館時に「健康チェックシート」の記入を義務化しています。
2020年5月7日までは厚生労働省が公表したコロナ感染の定義として「37.5度以上の発熱が4日以上」がありましたが、2020年5月8日からは発熱の度数や日数に関する具体的な定義は削除されました(参考記事:「37.5度以上」削除 PCR相談目安改定 幅広い受診促す(日本経済新聞))。
しかし37.5度以上の発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症感染の疑いを懸念し行動制限する方針を打ち出している事業者、自治体も多いため、検温の有効性は依然高いままといえます。
(東京都福祉保健局より「新型コロナウイルス感染症について」)
検温では、額や手首から体温を測定可能で、なおかつ機器が直接皮膚に触れない「非接触式体温計」が推奨されています。
2.除菌の徹底
コロナウイルス感染予防において、除菌は非常に有効な手段です。
博物館の展示品や施設など、手指のアルコール除菌はもちろん、利用客や博物館スタッフが共同で使用する場所など隅々まで除菌する必要があります。
アルコールの他に、次亜塩素酸精製水もコロナウイルスへの有効性が確認されています。
ただし、空気清浄器のような機器やスプレーボトル(霧吹き)での空間噴霧に関しては意見が割れており、現状は行うべきではないとの風潮が強いようです。
消毒・殺菌に関する詳細な情報を下記リンクにまとめました。
参考記事:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
参考記事:「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)(経済産業省、消費者庁、厚生労働省)
3.マスク/ゴーグル/手袋/フェイスシールド
除菌・殺菌を徹底したうえで、マスクやゴーグル、使い捨て手袋、フェイスシールドを着用するとより強力にコロナをブロックできます。
コロナウイルス(COVID-19)はのどや目の粘膜から感染するとされており、マスクの他にゴーグルも感染予防として有効です。
利用客が一人一人安全に楽しく博物館を楽しむため、前提として相手に感染させない、自分で感染予防する、といった最低限の心がけが必須になります。
博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン(令和2年5月14日リリース)
このような新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインも発行しています。他博物館の対策もあわせて参考にし、より良いウイルス対策を行っていきましょう。
コロナ禍に生き残る博物館の3つの条件
コロナ禍において、博物館の運営者が意識的に行うべき対策を3つの条件としてまとめました。
1.「3密」を避ける
「3密」とは「密接」「密閉」「密集」のことを指します。
博物館では利用客同士の距離が必然的に近くなり(密接)、博物館の規模にもよりますが、会場内が密閉された空間の場合もあります(密閉)。また、一度に多くの利用客が展示品鑑賞のために同じ場所に集まることもあります(密集)。
以上のことから、博物館はコロナ禍では避けるよう言われている「3密」の定義に合致しているといえるでしょう。
では、博物館が「3密」を避けて運営するには、具体的にどのような方法があるでしょうか。
下記に列挙してみます。
「密接」を避ける方法
・マスク・フェイスシールド・手袋の着用
・他の利用客同士の接触機会をなるべく避ける
・現金やクレジットカードではなく、電子マネーの利用を促す
・コイントレーを介した金銭の受け渡しを行う
東京国立博物館では以下の案内動画を作成し、YouTubeやブログで公開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Fi6p2hlnedM&feature=youtu.be
引用元:「ご来館のお客様へのお願い | Updated Rules for Reopening」
これらの施策は、コロナウィルスが「接触」「飛沫」によって感染することが判明していることから推奨されています。直接何かに触れたり、唾液から感染することを未然に防ぐ意識を持つことが大切です。
「密閉」を避ける方法
・博物館の受付や展示を行う場所は定期的に換気する。
・可能であれば窓を開け、空気を循環させる。
・利用客や博物館スタッフが外気に触れられるよう、こまめな休憩を義務化する
博物館内の空気を入れ替えないまま循環させていると、もしコロナウィルスが紛れ込んだ時に逃げ場が無くなってしまい、感染リスクが上がる懸念があります。
空気の入れ替えを徹底しましょう。
「密集」を避ける方法
・十分なソーシャルディスタンスをとる
・予約が一杯になってしまわないように予約可能枠を少なくする
引用元:東京国立博物館1089ブログより
「密集」に関しては、博物館の大きさやそこに集まる人の数で大きく深刻度が変わります。狭ければ狭いほど、また人が多ければ多いほど対策を講じる必要性が高まります。
京都市京セラ美術館では3密を避けるため、インターネットによるオンライン事前予約を導入し、入館者数を制限しています。
厚生労働省が発表した
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例
によると、
人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
とあります。
博物館で2mの距離を常に空けることは、なかなかに難しいものです。しかし2mが難しくてもその半分の1mでしたら実現可能性がぐっと高まります。
可能な限り「人と人の距離(ソーシャルディスタンス)をとる」ことを心掛けていきたいものです。
2.衛生管理を徹底する
博物館では、利用客が展示ケースに触ったり、利用客同士が一緒になって展示品を鑑賞したりすることが多く、感染リスクが上がる可能性があるため、非常にシビアになる必要があるでしょう。
具体的に気を付けたい点は、
・一度使用した備品は返却後全て消毒する
・博物館のいくつもの箇所で消毒スプレーを設置しておく
・展示ケースや備品などの清掃を定期的に行う
・博物館スタッフの健康管理をしっかりと行う
などです。
ほとんどの博物館ではコロナ禍の影響を抜きにしても、普段から共同で使用するものや施設を清潔に保つため、衛生管理をしっかり行っていることと思います。
しかし人々の衛生意識が非常に高まっている昨今、お客様に安心感を与えるという意味でも、より一層の衛生意識を持つ必要があるでしょう。
3.新型コロナウイルス感染防止対策への取り組みを周知する
各自治体のコロナ対策宣言ステッカーに関する情報例はこちらです。
東京都防災ホームページ「感染防止徹底宣言ステッカー」
大阪府「感染防止宣言ステッカーについて」
福岡県「感染防止宣言ステッカー」の申請・検索について」
ここまでお話ししました内容は、コロナウィルスの感染を予防するための対策をまとめたものでした。一方、本項では前述の2項とは少し毛色が異なり、「博物館の運営にあたってプラスになる」施策についてご紹介いたします。
「3密」への配慮も、衛生管理の徹底も、博物館の運営者がそれをしっかりと行っているかどうか、利用客からはあまり見えません。ですので、利用客へのアピール活動の一環としても、「どのようなコロナ対策を行っているか」を明示することは必要なのです。
例えば、
・感染予防への取り組みをステッカーや看板にして博物館に設置する
・各自治体が発行している「コロナ対策認可」ステッカーを博物館の目立つ場所に貼る
・博物館のホームページや予約サイトに、コロナ対策や衛生管理に関する取り組み内容を記載する
などがあります。
ホームページや予約サイトにおけるコロナ対策アピールは忘れがちですが、インターネット上で不特定多数に閲覧される為、アピール効果は絶大です。
RESERVA予約システムでできる周知方法
例えばRESERVA(レゼルバ)予約システムでは、
- 感染予防対策実施の文言をサイト情報に記載
(管理画面>基本設定>ビジネス情報登録>サイト情報)
- サイト情報の写真を感染予防対策している画像に変更
(管理画面>基本設定>その他詳細設定)
- 予約時のアンケートにコロナウィルスに関するチェック項目を設ける
(管理画面>高度な設定>顧客項目設定・予約時アンケート設定>予約時アンケート設定ボタン>質問を作成する)
- コロナウィルス関連の情報をメールにして自動配信
(管理画面>顧客サポート>お知らせ作成>お知らせ作成ボタン)
このような予約サイトの訪問者に向けた感染予防対策アピールが簡単な設定で行えます。
利用客がネットから予約する際に、必ず利用する予約サイト。
利用客の目に触れる機会の多い予約サイトだからこそ、コロナ対策への取り組みをお知らせできるのです。
コロナ禍・コロナ禍後に、博物館の運営を軌道に乗せるために必要な「3つの条件」についてご紹介いたしました。
新型コロナウイルスの第二波や第三波における感染拡大を抑えるために、今回紹介した対策を行うのは必須になります。
また、今後もコロナウイルスの感染状況によっては対策が変わってきますので、東京国立博物館など独自の対策を行っている博物館の感染対策にも注目していくことが大切です。
そして感染予防対策をしっかりと行った後には、必ずホームページや予約サイト上での顧客アピールを行いましょう。そうすることで、コロナ後の顧客離れを最小限に食い止めることができます。
以上の点を博物館の運営にお役立ていただければ幸いです。
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