少子高齢化や世帯構造の変化により全国で空き家が急増しています。総務省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」の結果によると、全国の空き家数は846万戸と過去最多を更新し、全国の住宅の13.6%を占めていることがわかりました。
社会問題としても取り上げられる中で、注目されているのが「空き家ビジネス」です。すでに個人の起業・副業としても空き家を有効活用したビジネスが広まりつつあります。今回は、空き家ビジネスの事例8選とメリット・注意点まで解説します。
社会問題化する空き家の実態
「日本中で空き家が増えている」と聞くと、地方の問題ととらえる方も少なくありませんが、実は都市部でも例外ではなく空き家が増えています。
総住宅数に占める空き家の比率(空き家率)でいえば、山梨県(22.0%)、長野県(19.8%)、和歌山県(18.1%)と地方県が上位を占めます。しかし、空き家数でみれば、東京都(75万戸)、大阪府(62万5千戸)、神奈川県(43万戸)といったように大都市圏が上位を占めています。
人口が集中する東京都に関しては、空き家が多いのは、大田区・世田谷区・江戸川区といったように23区が上位を占めています。特に、富裕層の街としても知られる世田谷区が上位にランクインしていることに驚く人も多いでしょう。
このように、空き家の増加は身近な問題であり、今後もさらに増加していくことが予想されています。
空き家が増えることの問題とは
空き家が増える理由は、所有者の転居、親族の相続拒否、固定資産税の支払い能力など様々です。行政でも対応しているものの、空き家の増加ペースに対応が追い付いていないことが大きな要因です。
しかし、空き家が増えることは様々な問題を引き起こします。
- 倒壊の危険がある
- 不審者が侵入する
- 放火のリスクが増える
- 資産価値が下がる
- 地域の景観が損なわれる
このように地域の空き家率が高まることで、街としての魅力が落ち、地域の人口減少に拍車がかかります。
こうした問題から、一部の自治体では空き家活用の補助金制度を設けています。また、空き家を上手に活用することで、初期投資を抑えられることから、ビジネスチャンスに変えている例も増えています。
空き家ビジネス7選
近年では、空き家を有効活用しようとする動きが増えています。特に、活用次第では、副業としても最適です。ここでは、空き家を使ったビジネスを紹介します。
1.戸建て賃貸
空き家の状態や立地条件がよければ、居住用の戸建て賃貸物件として人に貸し出すことが可能です。近年では、物件によってはタダで譲り受けできる「無償譲渡物件」も増えていますので、中には掘り出し物的な物件も見つかるかもしれません。
2.シェアハウス
シェアハウスは一つの住居に複数名が共同で暮らす賃貸物件のことです。シェアハウスの多くは、空き家となった戸建て住居や寮として使われていたアパート・マンションなどをリノベーションして使われています。
男性用、女性用、起業家専用、学生専用などコンセプトを明確化することで、差別化が図られ、選ばれやすくなるでしょう。
3.コワーキングスペース・サテライトオフィス
働き方の多様化や、コロナ禍を機にリモートワークが普及したことで、コワーキングスペース・サテライトオフィスの需要が増えています。
とりわけ都市部の企業では、オフィスを縮小しコワーキングスペースやサテライトオフィスで働ける体制を整えつつあります。地方でもワーケーション(ワークとバケーションを組み合わせた造語)を通じて、都市部のビジネスパーソンに新し働き方を提案しています。
オンライン環境さえ整っている地域であれば、地域の魅力をアピールすることで将来的に需要が見込めるでしょう。
4.民泊
外国人訪日客(インバウンド)の需要を狙って、空き家を民泊施設にすることも有効です。多少古い家屋でも、相場よりも利用料が安かったり、あえて古さを前面に出すことで海外の人のとっては人気のある施設に仕上がる可能性があります。
そのほかにも、単に宿泊してもらうだけではなく、地域の歴史を話す機会を設けたり、富士山が近くにみられるなどロケーションの良さを売りにしたりすることで、ほかの施設との差別化につながるでしょう。
5.収納スペース
住居用や宿泊施設ではなく、収納スペースとして貸し出すことも有効です。人が住まないのであれば、リフォームやリノベーションも不要なので、初期費用を大きく抑えることが可能です。
立地や築年数も住居用に比べて重要視されないため、借り手の幅が広いといったメリットがあります。一方、収納スペースとして貸し出す場合の注意点は、セキュリティ対策が必要なことです。
また、賃貸住宅に比べて賃料を安く設定する必要があることも念頭に置きましょう。
6.古民家カフェ・美容サロン
古民家カフェや美容サロン経営は、空き家活用との相性が良いジャンルです。特に民泊や宿泊施設などの旅館業と比べて規制のハードルが低く、初期費用を抑えられることが特徴です。
コンセプトやアイデア、技術力次第で収入を得ることができ、SNSなどを駆使することで、広告費用をかけずとも評判を聞きつけた人が次々と来店するでしょう。
7.レンタルルーム・レンタルスペース
レンタルルーム・レンタルスペースとは、空き家物件などを活用して、スペースを時間貸しするビジネスのことです。利用目的は、お客様のニーズと提供者側の取り決めによって決めていきます。
例えば、セミナー開催、企業研修、週1回のフィットネススクール、撮影会などが挙げられます。一人の相手に定額で貸すのではなく、あらゆる方に向けて時間単位で提供することができます。
例えば、空き家を丸ごと貸し出さなくとも、部屋の一部を貸すことも可能です。そのため、居住しながら副収入を得るといったことも可能です。
空き家ビジネスのメリット
空き家を何も手を付けず放置していると、固定資産税が掛かったり、倒壊リスクがあったりなど、不動産ならぬ「負動産」となってしまいます。
しかし、うまく活用すれば収益を得られる「勝ちの資産」となります。特に、空き家ビジネスに取り組むメリットを2つ紹介します。
定期収入が得られる
空き家を所有しているだけで、管理費や固定資産税などの維持費がかかります。しかし、ビジネスとして活用すれば定期収入を得ることができます。
売却して手放すことも一つの手段ですが、もし空き家ビジネスとして活用が見込めるようであれば、将来的に得られる収入の可能性まで失うことになります。もちろん、必ず儲かるかはわかりませんが、うまくいけば本業とは別に収入が得られるため、生活に余裕も生まれるでしょう。
特定空き家に指摘されるリスクがなくなる
空き家をビジネスに活用すれば、「特定空き家」に指定されるリスクがなくなります。特定空き家とは、2015年5月に施行された「空家等対策特別措置法(空き家法)」によって、指定される空き家のことを指します。
空き家法では、以下の4つの定義のうちいずれかに該当する空き家を「特定空き家」と指定しています。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空き家に指定されてしまえば、土地の固定資産税が上がったり、住宅用地の特例適用が受けられなくなったりするなどデメリットが大きくなります。
もし自分自身が居住しない場合は、人に貸したり、ビジネスとして活用するなどして、特定空き家に指定されるリスクを抑えたほうが良いでしょう。
空き家ビジネスの注意点
空き家の活用は、初期費用を抑えられアイデア次第で様々なビジネスを展開できますが、念頭に置くべき注意点もあります。
失敗のリスクがある
ビジネスである以上、空き家ビジネスが必ずしも儲かる保証はありません。出店エリア、コンセプト、利用価格、市場変化などによって、売り上げは大きく変わります。
例えば、「サテライトオフィスを建てたけど、アクセスの不便さから思うほど利用者が増えなかった。」「古民家カフェのはじめは順調だったけれど、しばらくしたら近くに同じようなお店ができて客数が減った。」といったように、やってみてから気づくことや、世の中の変化によって経営が苦しくなることもあります。
修繕・維持費がかかる
空き家を他人に貸したり、ビジネスとして活用する場合、建物の修繕が必要です。とりわけ、築年数が古い空き家を賃貸に出す場合、賃貸人には修繕義務が課せられているため、修繕費用が掛かります。
その後も、建物の安全性や快適性を維持するために、維持管理費用が必要ですし、場合によっては借主が破損することもあるため、保険加入など事前に準備しておくことが望ましいでしょう。
空き家ビジネスに活用できるRESERVA予約システム
少子高齢化が進む日本では、空き家が増加し続けています。人口そのものが減る中、仮に空き家をリフォーム・リノベーションしたところで、思うように居住者が見つからない可能性があります。それであれば、いっそのこと手放すか、ビジネスとして活用することがおすすめです。
ビジネスで活用する場合、なるべく設備投資にかかる費用を抑えたいところでしょう。特に、修繕やリノベーションといった建物自体に予算がかかるため、それ以外の部分として、Webサイトや予約サイトなどはなるべくリーズナブルに質の高いものを構築する必要があるでしょう。
そこで、おすすめなのがRESERVA(レゼルバ)予約システムです。RESERVA予約システムは、空き家のビジネス活用に役立つ機能が多数備わっているサービスです。
80種類以上の機能が備わっており、自社のビジネスに合わせて自由に組み合わせ出来るため、だれでもかんたんに自社仕様のオリジナル予約サイトを構築できます。ここからは、空き家ビジネスに活用できるRESERVA予約システムの機能を紹介します。
スマートロック連携
スマートロックとは、スマホやアプリの電子機器を使って鍵の施錠・解錠ができるシステムです。RESERVAのスマートロック機能では、予約者に暗証番号を伝えることで、実物の鍵の受け渡しをすることなく、非対面で受付~入室・退室~決済完了までを行うことができます。
事前決済機能
事前決済機能は、予約者にクレジットカード情報を登録してもらうことで、予約完了時に決済を完了してもらう機能です。
利用日のお会計業務が不要になるほか、直前キャンセル・無断キャンセルの防止としても活用できるため、売り上げ損失を防ぐことが可能です。
サブスク機能
サブスクとはサブスクリプションの略で、月額定額メニューのことを指します。予約者は、サービスの提供範囲内であれば月のうち何度でもサービスを利用できます。
例えば、スクールのサブスク、サロンのサブスク、レンタル商品のサブスクなど、サービスは多種多様です。RESERVAを使えば、サブスクメニューの予約管理・在庫管理・自動決済まで、事務業務の効率化に貢献します。
顧客管理機能
顧客管理機能は、顧客情報(氏名、連絡先)のほか、いつ・なにを利用したか、などの利用履歴を記録・管理する機能のことです。
RESERVA予約システムでは、単に予約受付の自動化をするだけではなく、顧客データベースとしての活用ができるため、業務効率化につながります。
まとめ
今回は、注目を集める空き家ビジネスについて、おすすめのビジネスモデルとあわせて紹介しました。日本では空き家が今後も増えていくことが予想されており、それにより社会問題が指摘される声も高まっています。
しかし、アイデア・工夫によっては収益を生む資産として生かすこともできます。むしろ、都心で家賃の高い物件で競合がひしめくなかでビジネスを展開するよりも、初期費用やランニングコストを抑えた、収益率が高いビジネス運営も可能です。
何より、空き家状態であることはその土地の魅力をなくすことにつながりますので、活用する途を模索していきましょう。