ビジネスパーソンを中心に、長い間親しまれているゴルフ。ゴルフを通じた交流の楽しさ、プロプレイヤーの活躍による劣らない人気から、近年若者の間でも注目が集まっています。そんな中ひそかにブームを巻き起こしているのが、インドアゴルフです。
インドアゴルフは、初心者や家族連れにとってもアクセスしやすい形態のゴルフ施設となります。幅広い顧客層を取り込めるほか、天候や季節、時間帯を問わず営業できることから収益性の高いビジネスです。
本記事では、個人経営を前提にインドアゴルフの開業手順を6つに分けて解説をします。開業までの流れを把握することで、スムーズなインドアゴルフ経営につなげられます。また、インドアゴルフ運営に役立つ予約システムも紹介します。
手順① 施設コンセプト立案
インドアゴルフの開業前に、今後の施設の方向性となるコンセプトを立案します。施設コンセプトを明確にすることで、顧客に対して提供する価値を定められます。
施設コンセプトとして、以下にポイントを考慮することが重要です。
・ ターゲットの特定
インドアゴルフのターゲット層として、家族連れ、若者、ビジネス利用を目的とした団体などが挙げられます。対象となるターゲット層のゴルフ経験や年齢層によって、設定すべき利用料やレッスン料の設定が変化します。
・差別化戦略
差別化戦略を実施することで、自身の施設が顧客に選ばれやすくなり、ロイヤルティの形成につなげられます。差別化の要素として、先進的なゴルフシミュレーターの導入やイベントを通じた体験価値の提供が含まれます。
手順② 物件探し
施設コンセプトの決定後は、物件の種類や立地、必要なスペースを踏まえ、物件探しを行います。これらを理解することは、ビジネスを始める際の重要な手順となります。
物件の種類
まず、物件の種類は居抜き物件とスケルトン物件に分けられ、以下にその詳細を紹介します。
居抜き物件
居抜き物件とは、前テナントが使用していた設備類をそのまま残して賃貸借する物件を指します。シミュレーターや貸出し道具など、開業に必要な設備が整っている場合は、施工費用が数十万円で済むことがあります。
一方で居抜き物件の契約では、オーナーとテナントの間に仲介業者が介入して締結されることが一般的で、契約条件で細かい条件を求められることが多いです。
下記のようなオフィス居抜き、飲食店居抜きの業者に頼むと、インドアゴルフの居抜き物件を紹介してもらうことができます。
スケルトン物件
スケルトン物件は、店舗内の内装・設備などが何もない物件です。自身で設備やインフラ等を準備する必要がありますが、思い通りに店舗構築を行えます。
しかし、初期費用や退去費用が多くかかる傾向にあり、 綿密な資金計画が必要です。また、 内装や設備工事の段取りを効果的に行えないと開店までの準備期間が長くかかります。
下記のようなスケルトンオフィス、不動産の業者に頼むと、インドアゴルフのスケルトン 物件を紹介してもらうことができます。
スケルトン物件のサイト
・ 株式会社しんか「スケルトン オフィス 東京」
・ ホクトシステム株式会社 「テンポスマート」
物件の立地
インドアゴルフの物件では、最寄駅から徒歩圏内に店舗を構えることが重要です。ターゲット層がアクセスしやすい立地を選定することで、集客力の向上を図れます。
アクセスの良さに加えて、家族連れや友人など複数人で車での来店に向け駐車場の確保することで、顧客の利便性向上を図れます。
必要なスペースの算出
必要な物件のスペースは、天井高と設置するシュミレーター数をもとに算出します。
利用者の事故防止に向けて、推奨の天井高は3m以上です。例えば、天井が高い物件を確保することで、長身の利用者が長尺ドライバーでフルスイングできるようになります。
シュミレーターのサイズは、1ブースにつき横幅4.5m、奥行き6mほどが目安です。仮に施設内に5打席のブースを設置する際は、必要な床面積は135㎡となります。
4.5m(横幅)× 6m(奥行き)× 5(ブース数)=135㎡(床面積)
ただし、インドアゴルフと併用してゴルフバーや飲食店を設置する場合、そのスペースも考慮して物件探しをする必要があります。
手順③ 開業資金と見積金額計算
開業方法や物件の規模によりインドアゴルフの開業資金は異なりますが、約2,000万〜5,000万円が推定です。開業費用の内訳は、施工費、ランニングコスト、その他費用となります。
以下に、その内訳と見積金額計算の例を説明します。
開業資金の内訳
インドアゴルフの店舗開業後には、一般的に店舗運営かかるランニングコストは毎月100万~130万円ほどです。施工費とその他費用の詳しいコストは、専門業者にお問い合わせください。
施工費
物件の築年数により施工費が変化し、一般的に新築物件の方が施工の実装が少ないため、費用が安くなります。また、施工費を抑えたい場合、シュミレーション機器の中古品やレンタルを検討することが有効です。
主な施工内容として下記が考えられます。
・工事費(内装と外装、電気整備)
・シュミレーション機器
・看板の設置
また、インドアゴルフ施設の内装や外装などの工事を依頼する際は、以下のような施工会社から発注を行います。
関東
・ バルボア・スタジオ株式会社
・ studio 10
ランニングコスト
ランニングコストで、差が発生するのは人件費です。事前に必要なスタッフ数や求めるスタッフの経験値などを考察する必要があります。
ランニングコストとして以下のような費用項目が考えられます。
・ 物件家賃
・(スタッフを雇用する場合)人件費
・シミュレーターの更新費用
・広告宣伝費
・予約システム
その他費用
インドアゴルフの開業では施工費とランニングコスト以外にも、下記のような費用が含まれます。 また、メーカーからシュミレーターを発注する際に、プロジェクターやモーションカメラなどの備品がセットとなっている場合もあります。
・ゴルフクラブセット、シューズ、グローブなどの備品
・プロジェクター
・モーションカメラ
・エアコン
開業費を抑えたい場合は、ゴルフ商品の中古品の買取がおすすめです。以下のような法人サイトから中古品の購入が可能となります。
・ 株式会社ゴルフパートナー「GOLF PARTNER ONLINE SHOP」
・ アクオ株式会社「ゴルフキング」
・ 中古ゴルフウェア通販サイト「STST(ストスト)」
見積金額計算の例
本項では、インドアゴルフ開業にかかる見積金額を計算していきます。
当見積の物件では、東京都新宿区にあるスケルトン物件を使用すると仮定し、家賃77万円(坪単価は1坪あたり14,000円/坪で55坪)、礼金と保証金を含む初期費用を670万円とします。また、店舗運営のために、開業時は正社員1名を雇用します。
シュミレーション機器は、株式会社ゴルフランドが販売する「G-SHOT SMART2(ジーショットスマート2)」となり、以下の備品が標準セットとして含まれます。
赤外線センサー、プロジェクター、各種ケーブル、モニター・PC周辺機器、正面スイングカメラ、消音スクリーン、打席・打撃マット
参考サイト: 株式会社ゴルフランド「G-SHOT SMART2(ジーショットスマート2)」
この施設では、5打席のシュミレーションブースを配置し、各ブースに1つずつシュミレーション機器・標準セットの備品、ゴルフクラブセットとグローブを設置します。
上記の要件をもとにした見積金額は3,181万円で、その計算方法は下記となります。
こちらの見積金額計算は参考例となります。運営側で必要なシュミレーターの品質、物件の広さや立地などにより開業費は大きく変化します。
手順④ 事業計画策定と資金調達
これまでの開業手順を踏まえて、次は事業計画策定と資金調達を進めていきます。
事業計画策定
どれくらいの規模で事業を実施するのか、開業資金やランニングコスト、収益見込みなどを事業計画書にまとめます。また、物件家賃や人件費などのランニングコストは、慎重に仮説検証して、正確な数値を算出することが重要です。
正確な事業計画を策定することで、資金調達をしやすくなり、資金難に陥るリスクを下げられます。
資金調達
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、プロジェクト・事業を立ち上げた人に対し、多くの支援者から資金を募る仕組みを指します。銀行ローンや投資家からの資金調達と異なり、借金を背負うリスクがなく、事業に失敗しても負債が残らないことが特徴です。
一方で、世間から魅力的な企画として認知されないと、目標金額の達成が難しくなる可能性があります。
クラウドファンディングで資金調達をしたプロジェクトの例
・ 株式会社CAMPFIRE「ゴルフ初心者のためのインドアゴルフ練習場スクールで、ゴルフの楽しさを伝えたい!」
・ 株式会社CAMPFIRE「豊田でゴルフの上達を本気で支援するインドア練習場をつくり、ゴルフをもっと楽しむ!」
助成金
助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して無償で提供する経済的支援を指します。また、助成金は後払いで事業者に入金されます。助成金の審査をするうえで、計画的な資金計画が求められます。
参考サイト:近畿経済産業局 「補助金採択後は、書類整理も重要です!」
インドアゴルフ事業で使用できる補助金として、「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」などが挙げられます。そのほか、各自治体や財団法人がさまざまな助成事業を行っています。
政策金融機関や民間金融機関からの融資
政策金融機関からの融資先としては日本政策金融公庫の新規開業資金や新創業融資制度が挙げられます。日本政策金融公庫を利用することで、民間の金融機関よりも金利が低めであることや融資の返済期間が長めであることが特徴です。
民間金融機関を利用する場合、銀行への申請が一般的です。銀行への申請の際は、都市銀行よりも地方銀行の方が、小口取引がメインで地域発展を目標に掲げていることから、融資を受けやすい傾向にあります。
各銀行が設けている利用資格に満たない場合は、銀行融資を申し込むことができないため、各支店へ要件の確認が必要となります。
・東北銀行 「創業支援ローン 〜起業のとびら〜」
・千葉銀行 「ちばぎん地方創生融資制度」
・福岡銀行 「創業支援」
融資のプロセスでは、申請者の借入希望金額や返済プランなどが厳しくみられる傾向にあります。企業や事業の具体的な内容も精査されるため、入念な事業計画策定が重要です。
手順⑤ 資格と届出の手続き
インドアゴルフに必要な資格と届出の手続きをすることで、公式に開業ができます。自身の経営方針に基づき、求められる資格や届出を取得します。
資格
インドアゴルフを開業する際には特に資格を持っている必要はないですが、防火管理者の資格取得は施設運営に効果的となります。
防火管理者
火災予防条例の第55条の3によれば、不特定多数の人が出入りする建物で全体の収容人数が30人以上であった際、防火管理者の選任が必要です。
選任に当たっては防火管理講習を受講・修了していることが条件となり、 甲種と乙種に分かれています。甲種防火管理者の資格は2日間、乙種防火管理者の資格は1日で修了することで取得できます。また、講習の申し込み方法については、お住いの自治体のホームページよりご確認いただけます。
届出
個人事業主としてインドアゴルフを開業する場合は、1カ月以内に所轄税務署に開業届を提出する必要があります。一方で法人設立の際は、法人設立日から2か月以内に法人設立届出書の申請が求められます。
参考サイト:国税庁 「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
届出の提出方法は、下記の種類に分けられます。
①窓口での提出:直接税務署の窓口に行くと、記入漏れなどの心配をせずに提出ができます。ただし、平日のみの営業です。
②郵送・投函:開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるため、郵送や時間外収受箱への投函が可能です。
③オンライン提出:国税庁のオンラインサービスe-Taxの利用によって、自宅で開業届を提出できます。
また、国税庁の「青色申告特別控除」によると、開業届の提出後に青色申告承認申請書を税務署に提出することで、税制上の特別な控除を受けられます。青色申告は、所定の帳簿を用意し、経理の記録を行い、その記録に基づいて税申告をする制度です。
手順⑥ 開業日時の決定
開業前の最終手順として、インドアゴルフ施設の店舗オープンに向けた準備を進めていきます。内装施工の日程から逆算して、開業日を最終決定します。また、ゴルフレッスンを実施する際は、早めにスタッフ採用と育成を行う必要があります。
本記事ではインドアゴルフの開業手順を解説しましたが、店舗経営においてホームページ制作やSNS活用したマーケティング活動も重要となります。
インドアゴルフの施設予約には、予約システムRESERVA
RESERVA(レゼルバ)は、導入数28万社を誇る、予約システムシェア国内トップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。業界・業種問わずあらゆるビジネスに対応しており、350種類以上の業態でRESERVAが利用されています。アカウント発行から予約システム作成完了まで最短3分で、永久無料で使えるフリープランもあるため、導入コストを低くしたい・使用感を確かめてから導入したいといったクリニックにおすすめです。
100種類以上の機能を搭載しており、インドアゴルフの予約業務の効率化はもちろん、集客力向上が可能になり、インドアゴルフ運営に欠かせない機能が揃っています。例えばリマインドメール機能は無断キャンセルの防止・急遽予約枠にキャンセルの際に効率的な予約枠の埋め合わせ・利用者の予約時間前に自動でリマインドメールなどがの機能です。
RESERVAは多彩なプランからインドアゴルフ運営のニーズに沿った選択ができ、使用予定の機能数によって細かい料金設定がされている点も特徴です。
まとめ
今回はインドアゴルフの6つの開業手順とインドアゴルフ運営に役立つ予約システムを紹介しました。インドアゴルフを開業するにあたり高額の資金が必要となるため、事前にクラウドファンディングや融資などの資金調達を検討します。
本記事を通して開業手順を学び、スムーズなインドアゴルフ運営を実現しましょう。
株式会社コントロールテクノロジーはクラウド型予約管理システム「RESERVA(レゼルバ)」を提供している。RESERVAは、アミューズメント業やスポーツ業界など350業種以上に対応した業界最大級の予約システム。導入社数は27万社を超え、最近ではインドアゴルフ業界でも積極的に利用されている。
大学卒業後、公認会計士試験に合格。
EY新日本有限責任監査法人で4年半勤務後、ブティック系会計事務所に転職。その後、藤沼会計事務所を開業し、2020年にアカウントエージェント株式会社代表取締役就任。企業会計、個人事業主の税務申告、事業承継・M&Aアドバイザリー・資金調達支援を専門として、起業・会計・税務の記事監修を得意とする。