自分1人で趣味や旅行を積極的に楽しむ「おひとりさま消費」に注目が集まっています。今まで、ファミリーやグループを対象にしていたサービスも、一人客向けに提供されるケースが増えています。
本記事では、おひとりさま消費が伸びている背景から、おひとりさま向けビジネスの事例を紹介します。新しいビジネスチャンスをつかみたい方は、ぜひ参考にしてください。
おひとりさま消費とは
おひとりさま消費とは、食事、旅行、趣味などを1人で積極的に楽しむ消費活動のことです。これまで「一人」というと、孤独・独り身といったネガティブなイメージを持つ方が多くありましたが、近年ではあらゆる分野でおひとりさま消費が活発になっています。
株式会社矢野経済研究所の「おひとりさま関連市場の動向調査(2020年)」によれば、15分野のうち13分野で成長見込みであると公表しています。例えば、「おひとりさま外食市場」における1人来店客の利用金額ベースは、2015年度が6兆8,946億円でしたが、2019年度は7兆9,733億円にまで成長しています。
参照:おひとりさま関連市場の動向調査を実施(2020年)
こうした需要に合わせて、近年大手企業を中心に、おひとりさまを対象にしたサービス企画や商品開発に注力しており、その勢いはとどまることを知らない状況となっています。
おひとりさま需要が伸びている背景
そもそも、おひとりさま需要はなぜ増えているのでしょうか。大きな要因は、「世帯の多様化」と「生涯未婚率の上昇」の影響が大きいとみられています。
世帯の多様化については、2019年は平均世帯人数は2.39人となり1953年の5.00の半分以下となりました。一方、世帯数は5178万5000世帯と過去最高を記録しています。
さらに世帯構成の内訳をみると、単独世帯が28.8%と最も多い割合となっています。「夫婦と未婚の子のみの世帯」や「三世代世帯」といった、いわゆるファミリー世帯の割合が大きく減少していることがわかります。
続いて「未婚率」についてもみていきましょう。厚生労働省の「人口動態統計」によると、1972年の109万9984組をピークに減少し続け、2016年の婚姻件数は62万531組と過去最低を記録しています。
男女とも年代別での未婚率は大きく上昇しています。50歳時の未婚割合(生涯未婚率)は男性で23.4%、女性で14.1%(2015年度)となっており、生涯独身で過ごす人はもはや珍しくありません。
未婚率が増えている理由に関しては、本記事では解説しませんが、事実として現代においては一人世帯が増えており、それに伴っておひとりさま消費が増えています。
おひとりさま消費に拍車をかけたコロナ禍
もちろん、未婚であってもカップルや友人、職場の同僚などと過ごすこともあるでしょう。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、非接触コミュニケーションが求められる中、飲み会などの機会が減り、その分自己投資や自分ご褒美に時間やお金を掛ける方が増えています。
SMBCコンシューマーファイナンス調べ(2021年)によると、一人で行動・消費することにお金を掛けている人の割合は80.4%、ひと月にかける金額は平均9,637円となっており、前回調査(2019年)に比べて大きく上昇していることがわかります。
また、SNSの普及に伴い、気軽に誰とでも繋がれるようになった現代において、むしろ対人コミュニケーションに嫌気を感じる方も急増しています。そのため、若年層であっても積極的に一人の時間を楽しむ方が増えているとみられています。
おひとりさま向けビジネス10選
ここからは、おひとりさま向けビジネス9選を紹介します。どれも数年前なら、一人でやるイメージが付きにくいものでしたが、どれも需要がありビジネスとして成立しています。ぜひ参考にしてください。
1.一人焼肉
焼肉といえば、みんなでワイワイと食事するイメージがありますが、一人専用焼肉店も登場しています。卓席には一人一台専用ロースターが設置され、好きな部位を好きなだけ食べることができます。
焼き加減や味付けも自分次第。焼肉好きには至福の時間を過ごすことができますね。
2.個室ジム(プライベートジム)
従来のフィットネスジムは、広々としたトレーニングルーム内で複数の方が各々トレーニングを行うのが一般的でしたが、新型コロナウイルスの流行にともない、三密状態になりやすいことから会員数が減少してしまいました。
代わりに登場したのが、個室ジム(プライベートジム)です。完全個室のトレーニングルーム内には、各種トレーニングマシンが備わっているため、順番待ちを気にせず好きなだけ使うことができます。
周囲の目を気にする必要もないので、トレーニングを始めたばかりの方でも恥ずかしさを感じることもありません。
3.プライベートサウナ
プライベートサウナは、一人や友人、カップルなど特定のメンバーだけで楽しめる完全予約制の貸切サウナです。不特定多数の人との三密状態を避けられる上、心地よい気分になることが期待できます。
最近では都心のオフィス街にプライベートサウナが次々と登場しており、仕事帰りのビジネスマンや経営者からも人気を集めています。お店によって特徴やコンセプトも様々。化粧水やクレンジングオイルなどのアメニティや、ドリンクバーがそろっている施設もあります。
4.一人ゴルフ
一人ゴルフは、好きなゴルフ場、プレー日、スタート時間を予約すると、同じ条件で予約した人と一緒にプレーできるサービスです。完全一人でプレーするわけではありませんが、周りに誘う人がいないときや、新しいゴルフ仲間を作りたい場合などに利用できます。
「会社の上司や取引先とプレーすると気を使ってしまう」といったこともありません。純粋にゴルフを楽しみたい方におすすめのサービスです。
5.ソロキャンプ
ソロキャンプは、一人でテントを張って過ごすキャンプのことです。人間関係のしがらみや都会の喧騒を離れ、大自然の中で一人で過ごすことでリフレッシュするのがソロキャンプの醍醐味。SNSで誰とでも気軽に繋がれるようになった昨今では、あえて誰ともつながらずオフラインの時間を過ごしたいという方が増えています。
未経験の方は、初めはオートキャンプ場などで経験して、徐々に人が少ない山奥にチャレンジすると良いでしょう。最近では個人で山(土地)を購入して、自分だけのキャンプ場を持つ人もいます。
6.一人涙活
涙活とは文字通り、感動で涙を流す活動のことです。能動的に涙を流すことは心のデトックス解消効果もあると言われています。週末や平日の夜に感動する映画を見たり、漫画やアニメなどを見たりして思い切り涙を流せば、不思議と気持ちがすっきりできるのでおすすめです。
さらに効果を高めたい方は、自宅シアターセットで臨場感を高めたり、部屋のライトやアロマの香りでリラックス効果を高めたりすると、より感動しやすくなりますよ。
7.一人起業
起業というと、「街中にオフィスを借りて社員を雇う経営者」というイメージを持つ方もいると思いますが、最近では一人で事業を始める方も増えています。特にオンラインツールやサービスが発展したことで、自宅にいながらパソコン1つで出来る仕事もたくさんあります。
例えば、Webライター、Webデザイナー、動画クリエイター、ITエンジニアといったIT・クリエイティブ系の仕事は、パソコンさえあれば出来るため、開業資金がほとんどかかりません。
その他、事務代行、営業代行、文字起こし、イラスト制作、ハンドメイドアクセサリー販売など自分の好きなこと得意なことを活かして仕事を受けることができます。
8.ソロウエディング
ソロウエディングは、一人で行う結婚式のことです。ウエディングドレスや白無垢を着て、プロのカメラマンに撮影してもらうサービスです。
衣装選びやヘアメイク、撮影にいたるまで数時間~1日掛けて行うことができます。結婚式場が企画しているものだけではなく、旅行会社やホテルが主催するプランなら豪華ディナー、エステサービス、スイートルームへの宿泊プランまで付いていることも。
オプションによっては、新郎役の男性と撮影したり友人と複数名で申し込めるプランもあり、一生の思い出を作ることができます。
9.一人カラオケ
一人カラオケも今では、おひとりさまの定番となりました。一人カラオケの魅力は、何といっても歌い放題。待っている時間もありませんし、自分の好きな曲を好きなだけ自由に歌うことができます。
採点も恥ずかしくないですし、曲のジャンルも気にすることもありません。楽器の練習にもピッタリですね。最近では一人カラオケ専用のお店も登場しているので、「他のお客さんに、寂しい人と思われたくない…」という心配も無用です。
10.一人卓球
卓球は本来二人(ダブルスなら四人)でやるスポーツですが、最近では一人で楽しめる一人専用卓球場も登場しています。卓球台には高性能な卓球マシンが設置されており、自動的にボールを出してくれます。例えるなら「バッティングセンターの卓球版」なので、誰でも気軽に卓球を楽しめます。
ボールのスピードや変化球など自由に調整することができるので、他の人の目に触れることなくトレーニングを重ねることができます。また、最近ではフリーで活躍している卓球コーチにトレーニングをお願いすることもできるので、プロ直々にマンツーマンレッスンを受けることが可能です。
おひとりさまを集客するための方法
おひとりさま需要を取り込むためには、積極的にアピールしたり、新しいサービスを企画しましょう。ここでは、具体的に一人客を集客するための方法を紹介します。
おひとりさま歓迎をアピールする
家族向けやグループ向けのお店やサービスに一人で入店するのは勇気がいるものです。おひとりさまを集客するためには、「一人でも安心して利用できますよ」ということを積極的にアピールすることと、実際に安心して利用できる環境を作ることが大切です。
たとえば飲食店であれば、半個室や仕切りを作ってほかのお客様の目に触れないようにした上で、広告などには「一人のお客様でも安心して利用できます」と伝えることが大切です。
利用者アンケートをとりメニューを工夫する
おひとりさま集客を成功するには、まずは一人客の気持ちを理解することが大切です。例えば、どんな時に使いたいと思うのか、どういったサービスがあると良いか、逆に一人では使いづらいと感じる理由は何か、など具体的な意見を集めることで、おひとりさまメニュー・サービス企画に役立てることが可能です。
おひとりさま限定プランを用意する
既存のメニューやサービスに「一人でもOKです」と伝えるだけでは不十分な場合があります。一人だけの至福の時間を満喫するための、おひとりさま限定プランを用意すると良いでしょう。
より一人の時間を有意義に過ごしてもらうためのオプションメニューも充実させることもポイントです。
おひとりさま向けサービスに役立つRESERVA予約システム
RESERVA(レゼルバ)予約システムは、かんたんな操作で自社オリジナルの予約を作成でき、予約業務の自動化やネット集客の向上に役立ちます。
RESERVA予約システムを使えば、おひとりさま消費を狙った予約受付システムを作ることができます。おひとりさま予約受付に役立つ機能をいくつか紹介します。
スマートロック連携
スマートロック連携機能は、予約者と施設管理者が直接鍵の受け渡しを行うことなく、キーレスで予約施設への入室が可能になる機能のことです。
予約者は手持ちのスマートフォンで暗証番号を入力することで、施設の解錠・施錠ができ、入室後は通常通りサービスを利用できます。施設管理者は受付に人を配置する必要がなくなるため、無人型予約施設の運営が可能になります。
スマートロック連携について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
キーレスで予約施設への入退室をスマート化!
ターゲティングメール
ターゲティングメールは、特定の顧客に絞ってメールを配信できる機能です。通常のメールソフトを使用するよりも対象者を絞りやすく、配信履歴も管理することができます。
配信先は、利用履歴(利用回数・利用日など)、顧客属性(性別、住所など)で絞ることができます。例えば、1年以上利用いただいていないお客様に対して、「おひとりさま向けサービスを始めました」といった案内文を送ることで、再来店につなげることも可能です。
ターゲティングメールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ターゲティングメールで特定のお客様にメルマガ配信!
まとめ
今回は、近年注目を集めるおひとりさま消費について解説しました。SNSなどの普及により、誰とでも気軽に繋がれるようになった反面、「誰かと過ごしたい」よりも「一人の時間を大切にしたい」という価値観が大きくなっているように感じます。
誰かと一緒にいると、気を遣ったり予定を合わせたりしなければならないので、自由気ままに過ごしたいという方が多いようです。
ぜひこちらの記事を参考に、おひとりさま消費に取り組んでみてはいかがでしょうか。